【DX推進企業のキセキ②】ワンオペDXからAI組織化へ!株式会社イントロダクション髙橋 勇也社長が目指す『社員への利益還元の最大化』

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株式会社イントロダクション 代表取締役 髙橋 勇也氏

株式会社イントロダクション 代表取締役 髙橋 勇也氏1

日本におけるDX推進は大手企業が先行し、中小・中堅企業は大きく遅れています。そんな中、株式会社イントロダクションは、例外的な存在と言って良いでしょう。

同社はSES事業を主軸としながら、自社ツール開発やAIを活用した業務効率化にも積極的に取り組んでいます。創業当初からバックオフィス業務の自動化を進め、結果としてDXを内製ツールにより進めてきた点が特徴です。一方で、技術の属人化やシステムの再構築の必要性といった課題も抱えています。DXとAIを軸に、組織としてどのように進化していくのか、代表の髙橋勇也氏(以下、髙橋氏)にお話をお聞きし、その戦略と現場のリアルに迫ります。

【本記事の要点】

  • バックオフィス自動化から始まった同社のDXは、「社員への還元を最大化する」という明確な目的意識に根ざした実践的な取り組みである
  • 創業期に構築したシステムの属人化という課題に直面し、現在は誰でも使える仕組みへの全面再構築を進めている
  • ワンオペDXから組織的なDXへの移行を目指し、月次研修やITパスポート取得推奨など、社員を巻き込む体制づくりを重要視している
  • 生成AIを人事・健康領域にも活用し、離職リスクの早期検知など、テクノロジーと人的接点を組み合わせた組織変革を見据えている
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SES事業を軸に自社開発とAI活用へ広がる事業領域

まず御社の事業概要について教えてください。

髙橋氏

株式会社イントロダクション 代表取締役 髙橋 勇也氏

「はい、当社は主にSES(システムエンジニアリングサービス)事業を中心に展開しています。ソフトウェア開発の現場では『この言語が扱えるエンジニアが欲しい』『こういうスキルを持った人材が必要』といったニーズがプロジェクトごとに発生します。それに応じて最適なエンジニアを提案していくのが基本のビジネスモデルです。 現在も売上の8〜9割はSESによるものですが、ここ2〜3年は自社開発にも力を入れています。

たとえば『DX-Touch』というパッケージの開発や、企業向けのツール制作、ホームページ制作なども手がけています。最近ではAIを活用した機能の導入も積極的に行っていて、OCR(光学的文字認識)技術を使って書類を自動でデータ化するような仕組みも開発しています。」

かなり幅広く対応されているのですね。

髙橋氏

「そうですね。『何でも相談してください』というスタンスに近いです。企業内で使うちょっとしたツールから対応していますし、AIを使った方が効率的な場合は積極的に取り入れています。ただ、軸はあります。『企業の中で困っていることを、ITで解決する』という一点です。お客様の要望があれば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:定型業務を自動化する技術)やAIを使って、必要なものを作るスタンスです。現場の課題に応じて手段を変えているので、結果的に幅が広く見えるのだと思います。」

社員の構成としてどういった特徴がありますか。

髙橋氏

「20代は新卒中心で2名、30代は中途採用が中心です。SESの特性上、現場に出ることも多いですが、社内では自社ツール開発やDX関連の業務にも関わっています。」

御社の指針の中に「日本で一番ホワイトな会社」という言葉がありますが、どのような想いが込められているのでしょうか。

髙橋氏

「私がIT業界に入る前は、『長時間労働が当たり前』というイメージが強くありました。実際に当時のIT業界では、始発で出社して終電で帰るといった働き方の話もよく耳にしていました。また、前職の医療現場でも、仕事の大変さに苦しんでいる方を多く見てきました。

そうした背景から、自分が会社を立ち上げる際には『従業員が健康で、長く働ける環境をつくること』を最優先に考えました。その一環として、健康経営優良法人の認定取得にも取り組み、2023年からは継続して認定を受けており、2024年からはブライト500認定を継続して取得しています。」

バックオフィス自動化から始まった独自のDX推進

バックオフィス自動化から始まった独自のDX推進

御社がDXに取り組まれたきっかけは何だったのでしょうか。

髙橋氏

「実は、最初から『DXをやろう』と意識していたわけではありません。ただ、会社の利益を社員へ還元する効率を高く維持するためには、バックオフィスのコストを抑える必要がありました。

そこで、私自身がバックオフィス業務を担当しながら、プログラムを組んで業務を自動化していったのです。具体的には、定常業務は極力システム化して、イレギュラーな対応だけ人がやればいいという形でした。結果的に、これがDXへの取り組みのスタートになったのです。」

かなり早い段階から取り組まれていたのですね。

髙橋氏

「経理や支払いに加えて、給与計算の仕組みも自分で開発しました。当時は現場の仕事を終えた後や休日にプログラムを書いて、整備を進めていきました。

実は当初は、給与計算なども社労士さんに依頼していたのですが、ミスが発生することもありました。それに、1人あたり数千円のコストもかかっていたので、『それなら自動化してしまおう』と考えたのです。結果的に、現在はお金に関わる部分はほぼすべて自動化されています。

また、出退勤管理なども内製化し、法律上必要な勤怠管理もシステム化しました。今では、出退勤管理と給与計算とは連動して自動化できるようになっています。」

DXによって解決したかった課題は、やはりコスト面でしょうか。

髙橋氏

「はい。ただ最終目的は、バックオフィスのコスト抑制を考えたときから一貫して『社員への還元』です。還元率を上げつつ、会社としての持続性も保つ。そのバランスを取るための仕組みづくりでした。そのためには、バックオフィス業務を効率化し、人件費を抑える必要があったのです。」

DX戦略の策定についても教えてください。

髙橋氏

「DX認定を取得するために策定しました。これまで取り組んできた内容を言語化し、『こういう方向で進めていきます』という形で整理したものです。

現在では、毎年、進捗や成果をチェックし、指標に対してどれだけ達成できたかを確認しています。たとえばITパスポートの取得者数や、自社開発に関わる社員の割合などを指標として設定しています。

また、人事や評価制度、健康管理といった部分もDXの対象として捉えており、全体として『働きやすさ』と『効率化』を両立させる方向で進めています。」

社長依存のシステムと属人化という構造的課題

多くの中小企業がDXの内製化に苦しむ中、同社はいち早く自社システムを構築し、バックオフィスの自動化を実現してきました。しかし髙橋氏は、スピード優先で走り続けた創業期のシステムには、成長とともに顕在化する構造的な問題が潜んでいたといいます。では、その実態はどのようなものだったのでしょうか。

属人化が生んだシステムの限界と全面再構築

DX推進にむけた課題はありますか。

髙橋氏

「初期のシステムは、創業から最初の1〜2年で一気に作り上げました。ただ、当時はとにかく動かすことを優先していたので、大きな課題に直面してしまいました。当初のシステムは私を含めて一部の人間しか使えない設計になっており、いわば『属人ツール』の仕様だったのです。

また、UIも整っておらず、開発画面から直接プログラムを実行するような形になっていました。そのため、会社が成長して事務担当者に業務を任せようとしたときに、『誰でも使える仕組みではない』という問題が出てきました。

そのため、現在はその課題を解決するために、システム全体を作り直しているところです。経理や給与だけでなく、入社手続きや雇用保険の申請といった業務も含めて、すべてを一つのアプリケーションで完結できるように再構築しています。」

お話を伺っていると、DXが社長依存になっているようにも感じられますが、その点はどうなのでしょう。

髙橋氏

「おっしゃる通りで、『これはまずいな』と思っています。現状では私しか操作できない部分も多く、もし何かあったら業務が止まってしまうリスクがあります。そういった意味でも、『属人化の解消』は大きなテーマです。」

これまではほぼお一人でDXを推進されてきたわけですよね。

髙橋氏

「スタートは完全に一人でした。ただ、これからはそれでは通用しないと感じています。今後はエンジニア自身もDXやAIを理解し、活用できる人材でないと厳しくなると思っています。」

社員への浸透と組織的DXへの移行

社員を巻き込むために、具体的にはどのような取り組みをされていますか。

髙橋氏

「社内研修を強化しています。AIも取り入れた研修を月1回実施しており、実務に直結する内容を中心にしています。今年の春から本格的にスタートしました。また、ITの基礎知識を身につけるために、全社員にITパスポートの取得も推奨しています。」

組織としてDXを推進する体制に変わりつつあるのですね。

髙橋氏

「はい。これまではワンオペでやってきましたが、今後は社員も巻き込みながら進めていきます。完成した仕組みは社内だけでなく、外部への提供も視野に入れています。『このシステムがあればバックオフィス要員がほぼ不要になる』というレベルまで持っていければ、十分に市場でも競争できると考えています。」

社員の皆さんの反応はいかがですか。

髙橋氏

「もしかすると、『採用のために何かやっているな』くらいにしか見られていない可能性もあるでしょう。現状は『社長が一人で頑張っている』という見え方に近いと思います。だからこそ、今後はそこを変えていきたいと考えています。」

確かに、制度や認定だけでは実感しづらい部分もありますね。

髙橋氏

「そうなんです。DX認定も健康経営も、『取得したから何なのか』が伝わりにくい。実際、展示会で『うちもDX認定持っていますけど、何をやっているか分からないんですよね』と話している方もいて、やはり浸透の難しさを感じました。」

まずはトップダウンで進めるしかないということでしょうか。

髙橋氏

「そうですね。DXや健康経営の指針にもありますが、まずはトップの意思決定がスタートです。そこから徐々に浸透させていくしかないと思っています。数年単位で考える必要があると思います。実際、他社の事例を見ても『認定は取れたけれど、社員の実感との間にギャップがある』という話はよく聞きます。」

KPI進捗と時代に合わせた指標の見直し

DX戦略で設定されているKPIの進捗はいかがですか。

髙橋氏

「いくつかのKPIを設定していますが、概ね順調に伸びています。ただ、ここに来て新たな課題も見えてきています。それは、指標自体が時代に合わなくなってきている点です。

たとえば、以前はノーコード・ローコードの活用を指標にしていましたが、今は完全にAIの時代にシフトしています。そのため、『AIを活用できる社員の割合』に指標を変えた方が現実に即していると感じています。」

DXportal®編集部

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DXportal®編集部

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