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デジタルトランスフォーメーション(DX)は、現代のビジネス戦略にとって不可欠な要素であり、企業の競争力を維持・向上させる上で欠かせない施策です。
DXとは「デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値を創出することで人々の生活をより良くする」ことですが、これを実現するためには目まぐるしく変化する現代の人々の生活に向き合い、対応し続けなければなりません。特に、2025年現在、生成AI(ジェネレーティブAI)などのテクノロジーが急速に普及する中、市場のニーズと技術進化のスピードは過去に類を見ないほど加速しています。
そのために重要なのが、柔軟性と速度を持つ「アジャイル」な開発手法であり、この開発手法に欠かすことのできないフレームワークが「PDCA」です。
ところで、あなたは本質的な意味で「PDCAサイクルの回し方」を理解しているでしょうか。
「PDCA」の「P」は「Plan(プラン:計画)」であると同時に、「Priority(プライオリティ:優先度)」を指しています。このことを理解していない限り、適切にPDCAは回りませんし、アジャイルな開発も行えません。
そこで今回は、DXを進めるために必要な「アジャイル」について改めて確認するとともに、優先度を含めたPDCAサイクルの重要性と、具体的な実践方法について解説します。
急速な変化・革新が求められる現代ビジネスにおいて、DX推進を成功させ強い競争力を持ちたい企業の経営者様、DX推進担当者様にとって、本記事が最短ルートを示すものとなるでしょう。
DX推進に必須のアジャイル

アジャイル(Agile)とは「俊敏な」「素早い」という意味の英単語が基になっており、、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために用いられる、システムやソフトウェア開発の手法の1つです。
具体的には、「スプリント」と呼ばれる、開発工程を小さなサイクルに分割したユニットごとに開発・導入・修正を繰り返していく手法を指します。
「全ての開発が終了してからリリースする」従来の「ウォーターフォール開発」とは異なり、繰り返し小さな成果をリリースしていくアジェイルな開発は、時代とニーズに合わせた柔軟かつ迅速な対応が可能となる点は大きな魅力です。
例えば、業務システムを変革して作業の効率化を図る際、全てのシステムが完成してから実戦投入するウォーターフォール開発の手法では、予期せぬ不具合が発生したり、現場から不満が上がったりした場合に迅速な対応をすることは難しくなります。
どれだけ時間をかけて準備をしても、実際に動かしてみて多くの問題点が浮き彫りになる場合は少なくありませんが、それらを修正するためには膨大な手間と時間がかかってしまうでしょう。
一方、小さなシステムを随時投入していくスタイルのアジャイルな開発手法を用いていれば、問題が発生したとしても、修正が容易であり、軌道修正が必要な場合であっても、迅速に対応が可能となります。
このようなメリットがあるアジャイルな開発を行う際に使える便利なフレームワークが、「PDCA」サイクルです。
アジャイルを回すPDCAサイクル

「PDCA」とは、DXの文脈に限らず、ビジネスシーンでは一般的に使われる用語で、プロジェクトなどを進めるためのサイクルを指しています。
その名は、プロジェクト進行に欠かせない、4つの工程の頭文字をとって命名されました。
- Plan(プラン):計画
- Do(ドゥー):実行
- Check(チェック):測定・評価
- Action(アクション):対策・改善
計画し、実行し、その結果を測定・評価する。そして、その評価に基づいて対策を考え、改善していく。
これらの工程を、数日から数週間という短いサイクルで繰り返していく概念であり、プロジェクトを実行のためのフレームワークです。アジャイル開発では、このPDCAサイクルを短い期間で集中的に回すことが重要視されます。
アジャイル開発で用いられる発展的なフレームワーク
アジャイル開発の現場においては、PDCAサイクルを発展させたフレームワークも活用されます。これは、市場や顧客からのフィードバック(Check)を「計画」よりも優先して組み込むことで、より迅速な軌道修正を可能にするためです。
PCDAサイクル
PDCAの「D」と「C」を入れ替えた「PCDA(Plan-Check-Do-Action)」は、まず現行の状況や市場の状況を「チェック」してから計画を立てるという考え方です。特に既存業務のDXや改善を行う際、現状のボトルネックを最初に徹底的に分析・測定(C)することで、より現実的かつ効果的な計画(P)立案を可能とします。
OODAループ
「OODA(ウーダ)ループ」は、Planという概念を持たない、意思決定の速さに特化したフレームワークです。
- Observe(観察)
- Orient(状況判断・仮説構築)
- Decide(意思決定)
- Act(実行)
こうした4つのプロセスで構成されており、特に競合他社との競争が激しい市場において、迅速な意思決定と行動が求められる場合に有効です。アジャイルなDX推進においては、このOODAループで素早く方向性を定め、PDCAサイクルで着実に開発を進めるという複合的な活用も一般的です。
OODAループに関しては、弊社の「MU Blog」に詳細な解説がありますので、よろしければ合わせてお読みください。
執筆者
株式会社MU 代表取締役社長
山田 元樹
社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。
最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。
2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ