DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しようと考えている中小企業の経営者は、どのような意識で携わるべきか。
デジタル化が進む社会で、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいますが、実は経営者自身がボトルネックとなるケースは少なくありません。
特に中小企業においては、経営者自身の意識改革や、DX(デジタルトランスフォーメーション)への正しい理解が、新しいビジネスモデルを生み出す起爆剤となり得ます。
変革の足枷とならないよう、中小企業の経営者が、今行わなければならない自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を理解し、ビジネス価値を高めていってください。
目次
DXのボトルネックになる経営者
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を始めても、途中で挫折してしまい、形だけのDXに終わってしまう企業は数多くあります。
その原因の一つに、経営者自身がボトルネックになっており、変革を阻んでいるケースが見受けられます。
そのような企業では「DXを使って何かやっておこう」という大まかな方向性しか決まっておらず、担当者や外部ベンダーにその後の戦略を任せて、船を漕ぎだしてしまうのです。
具体的なDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略が定まっていない場合、仕事を任された社員は「とりあえず業務を電子化しよう」「ITツールを取り入れよう」といった場当たり的な取り組みを行う可能性があります。
また任せられた外部ベンダーは、ユーザーの利用に支障が出ないよう、大きなシステム改修を行うことを避けるケースが多いです。
しかし、その他の社内スタッフはDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性や必要性を理解していませんから、既存の業務手順が変わってしまうことを恐れ、思うように改革が進みません。
結果として、仮に電子化やITツールの導入ができたとしても、十分に使いこなせず、中途半端に新旧のやり方が並行して動くことになってしまいます。
このように、経営者がDX(デジタルトランスフォーメーション)について十分に理解せず、DXという言葉だけが先走ってしまい、失敗に終わることはよくあるのです。
失敗を防ぐためには、経営者自身が舵を取り、担当者を孤立させないような体制で、周囲の協力を仰ぎながらDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する必要があります。
ではどのように立ち回るべきなのか、次章から中小企業の経営者が取り組むべきことを詳しく解説していきます。
中小企業経営者が取り組むDX推進の3ステップ
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進にあたり、中小企業の経営者が取り組むべきことを項目ごとにわけて、3つのステップで解説します。
- DXを正しく理解する
- マインドセットを替える
- トップダウンでDXを推進する
1.DXを正しく理解する
中小企業の経営者が最初に取り組むべきことは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を正しく理解することです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の何たるかを理解せずに、DXという言葉だけを使い新しい施策を推進することは極めて危険です。
先述のように、紙のデジタル化や業務効率化だけで満足してしまうと、今後のデジタル社会競争の敗者となってしまいます。
ここで理解しておきたいのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「ITツールや情報技術を駆使して顧客へ価値を与え、自社の売上に貢献するための一つの手段」ということです。
そのためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)をどのように活用して、自社の価値を高め、売上を伸ばしていくかを経営戦略に落とし込む必要があります。
たとえば
SFA(Sales Force Automation=営業支援システム)を導入して営業状況の可視化を図り、営業報告会議の開催数を減らす。
その代わりに会議に充てていた時間を営業状況の分析に充て、データから新しいニーズを汲み取り、新規事業を開発する。
このようなケースモデルを作り、自社ならではの新しい価値や売上を作り出すことこそ、経営者が尽力すべきところです。
2.マインドセットを変える
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進にあたって、もう一つ経営者が取り組むべきなのは、マインドセットを変革することです。
マインドセットとは、思い込みや固定された価値観のことを指し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるには、この考え方を変えることが欠かせません。
今後デジタル化が進む社会では、急速に変化する環境に自社を適応させる必要があります。
だからこそ、中小企業の経営者自身がマインドセットを見直し、全社的に意識改革していくことが求められるのです。
たとえば、現在利用しているシステムが問題なく稼働しているからといって、IT領域への投資コストを抑えてはいないでしょうか。
経産省はDXレポートの中で、2025年にはレガシーシステムが崩壊すると警鐘を鳴らして、国内の企業におけるシステム改修は急務と伝えています。
つまり、これからの社会では、今までのように確実性のみを求めるやり方は、時代が変化する速度にそぐわないのです。
3.トップダウンでDXを推進する
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、トップダウン型の経営者発信で行うことが原則です。
なぜなら、実際の業務に関わる社内スタッフは、既存の業務の変化や新しい事業に消極的である場合が多く、経営者自身の口からDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を伝える必要があるためです。
トップダウンでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためには、DXを行うことの必要性と、取り組みによって得られるメリットを、社内スタッフに知ってもらわなければいけません。
そして、特定の部門だけでDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組まないよう、各部門の管理職と認識をすりあわせておくことが求められます。
このように、経営者と管理職がDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性やメリットを繰り返し伝えることは、DXに対して保守的な考えを持っているスタッフを動かすきっかけになるはずです。
まとめ
中小企業の経営者が、今取り組むべきDX(デジタルトランスフォーメーション)について、自身がボトルネックにならないための3ステップを解説しました。
- DXを正しく理解する
- マインドセットを変える
- トップダウンでDXを推進する
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しなければならない、という意識を持っている中小企業の経営者は多く、これまで実施してこなかった取り組みに着手するのは素晴らしいことです。
ただし、成果を出すためには経営者がDX(デジタルトランスフォーメーション)を正しく理解し、自社の経営方針に落とし込んで、自ら施策を推進していくことが不可欠です。
現在DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている、もしくは既に実行している経営者の方は、今一度自分の考え方や、DXの進め方について見直してみてください。
まず経営者自身のマインドセットを変えることが、自社をデジタル社会の荒波に乗せるための第一歩となります。
そうすることで、必要に応じ社内スタッフの意見を吸い上げながら、自社ならではの新しい価値を創出できるのです。