中小企業における顧客エンゲージメント向上|DXとCRMの活用

中小企業における顧客エンゲージメント向上|DXとCRMの活用

デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値創出で人々の生活をより良くする。この実現を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)は、業務プロセスの最適化、顧客とのコミュニケーションの改善、新しいビジネスモデルの創出などによって、ビジネスの成長と顧客エンゲージメントの向上をもたらします。

企業と顧客との信頼関係を表す顧客エンゲージメントの向上は、ビジネスの根幹となる重要なポイントであり、DXの成果の中でももっとも期待されるものの1つです。

本記事では、特に中小企業のDX戦略としての「顧客エンゲージメントの向上」を取り上げ、そのために役立つCRMの活用について解説します。

ぜひとも、本記事を通じて、DXにより顧客エンゲージメントを高め、持続可能なビジネスの成長を実現するためのヒントをつかんでください。

顧客エンゲージメントの理解

顧客エンゲージメントの理解

企業が顧客との関係構築を行う上で、顧客エンゲージメントは重要な考え方となります。

まずは、この言葉の意味を整理することから始めましょう。

顧客と企業の信頼を表す顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは、端的に言えば「顧客と企業との信頼関係」を表す概念を指しています。

マーケティング領域においては、顧客がブランドや製品に対して持つ情熱的・親密的な想いから生まれる、持続的な関係性を指していると言っても良いでしょう。

この関係性は、ブランドへの忠誠心や満足度、そして最終的には売上に直接繋がります。

高い顧客エンゲージメントを持つ企業は、顧客のロイヤルティを獲得しやすく、持続的な成長を達成する可能性が高まるのです。

顧客エンゲージメント向上のカギ

顧客エンゲージメントを向上させるには、主として以下の要素が重要になります。

  • 顧客理解:顧客のニーズや期待、興味を深く理解する。顧客のフィードバックを収集し、分析することで、商品やサービスの改善に繋げることができる
  • コミュニケーション:顧客との定期的なコミュニケーションを通じて、関係を深化させる。SNSやEメールマーケティングなどのデジタルツールの活用が一例である
  • 価値提供:顧客に対して価値を提供し続ける。高品質な商品やサービスの提供、個々の顧客ニーズに合わせたパーソナライズされた体験などを通じて達成できる

顧客エンゲージメントの評価基準

顧客エンゲージメントは、以下のような指標を通じて評価することができます。

  • 反応率:顧客がEメールやSNSの投稿にどの程度反応しているかを見る基準値。「開封率」、「クリック率」、「コメント数」など
  • 購入頻度:顧客がどの程度頻繁に製品やサービスを購入しているかを図る基準値。「購入頻度」や「リピート購入率」など
  • 推奨行動:顧客がブランドや製品を他人に紹介しているかどうかを図る基準値。NPS(ネットプロモータースコア)など

顧客エンゲージメントはビジネスの成長における重要な要素であり、顧客との深い関係を築くためには、その理解と評価が必要です。

DXと顧客エンゲージメント

繰り返しになりますが、DXとは「デジタル技術とデータを活用し、既存のモノやコトを変革させ、新たな価値創出で人々の生活をより良くする」ための取り組みです。

DXにおいては、デジタル技術を駆使した顧客データの活用が大きなポイントになります。

インターネットの普及に伴い、顧客の行動が急激な変化を起こし、かつ多様化している現代においては、その顧客行動や心理をいかに可視化してデータとして蓄積・活用できるかが重要なカギなのです。

つまり、DXにより膨大な顧客データを収集・蓄積・管理・分析を行い、自社ビジネスの発展のために最適に活用することができなければ、企業の競争優位性を保っていくことは不可能だと言えます。

DXによる顧客エンゲージメントの強化方法

DXにより顧客エンゲージメントを強化していくことは、今後のビジネス発展を考える上で必須の戦略です。

では、具体的にはどのようにしていけば良いのでしょう。

ここでは、DXを活用して顧客エンゲージメントを強化する具体的な方法をいくつか紹介します。

  • 質の良いデータの取得:チャットボットなどを利用して、顧客と直接対話するなど質の良いデータを取得できる仕組みを作る
  • パーソナライズされた体験の提供:取得した顧客データを活用してパーソナライズされた体験(個々の顧客の興味やニーズに合わせたコンテンツやサービス)を提供する
  • コミュニケーション設計:顧客にとってメリットのあるコミュニケーション設計を行うことで、顧客エンゲージメントが向上する
  • オムニチャネル戦略:顧客が好むチャネル(WEBサイト、SNS、モバイルアプリなど)を通じて接触を図ることで、日常的に接点を持てるようにする

CRMを活用した顧客エンゲージメント向上

CRMを活用した顧客エンゲージメント向上

様々な施策がある中でも、CRMシステムは、企業が顧客エンゲージメントを向上させるための有力なツールです。

CRMを活用すると、顧客とのコミュニケーションの効率化や、パーソナライズされたエンゲージメントの提供を実現できるだけでなく、そこからさらに顧客の行動データを分析することも可能になります。

多様化する顧客ニーズへの対応

CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の頭文字を取った略語であり、日本語では「顧客関係管理」などと訳される言葉です。

端的に言えば、顧客との関係を構築し、さらに良好なものへと強化していくために、顧客情報を管理・活用する概念と言えるでしょう。

顧客のニーズが多様化した現代では、より深く顧客のことを理解し、ニーズを満たす戦略を練ることが重要になっています。

CRMのシステムをうまく活用すれば、インターネット内での顧客の購買履歴や行動パターン、コミュニケーション履歴などのデータを一元管理することができます。

このデータを分析すればし、企業は顧客との関係をより深く理解し、それに基づいてパーソナライズされたサービスやマーケティング施策を提供できるようになるのです。

既存顧客維持の重要性

既存顧客維持の重要性

マーケティングにおける基本的な考え方として、顧客をこれまでの企業との関係性から2つに分けて、その流入導線を考えるということがあります。

具体的には「新規顧客」と「既存顧客」です。

これまでのマーケティングでは、多くの場合において新規顧客の獲得に重点が置かれており、そのための戦略が取られていました。

当然ながら、広告出稿なども新規顧客の獲得が重視されるため、「より多くの潜在的な顧客の目に商品・サービスの情報が届くこと」を目指して、莫大な広告費が投じられていたのです。

しかし、マーケティングの世界には「1対5の法則」というものが存在します。新規顧客にかかるコストは、既存顧客維持にかかる費用の約5倍もかかるのです。

その一方で、一般的に売上の約80%は、顧客のうち上位20%のリピート客によってもたらされるとも言われています。つまり、企業にとって新規顧客と既存顧客へのアプローチの費用対効果は大きく異なるのです。

ある製品やサービスに満足している顧客は、2回目、3回目と回を重ねるたびに、より購入金額が上がる傾向があることもわかっています。

このことだけをみても新規顧客の開拓よりも既存顧客を維持するほうが、マーケティングの戦略としても効果的であることはお分かりいただけるでしょう。

CRMが高い顧客、つまり企業や商品・サービスへの満足度が高い顧客ほど、値下げ要求などをする可能性も低く、原材料の高騰などによる値上げを受け入れてくれる割合も高いと考えられます。

また、「口コミ」などを通じて、新規顧客を連れてきてくれる場合もあります。

つまり、CRMを向上させ、既存顧客との関係性をより良好にすることは、顧客にパーソナライズしたアプローチを行うことで単に売上を上げるだけにとどまらず、より大きな成果が期待できるのです。

CRMを高めることができれば、広告費用をはじめとするコスト削減をしても、結果的に収益を増加させることも可能になるでしょう。

CRMの導入と活用における課題

自社のビジネス、そしてマーケティングにCRMを導入し、大きな成果をあげるためには、いくつかの課題を克服する必要があります。

中小企業の多くがつまずきがちなCRM活用に関する注意点は、主に次の通りです。

  • データの質:CRMの効果は、データの質に大きく依存する。そのため、データが不正確または不完全であれば、その結果に基づく決定は誤ったものになりかねない。常に正確かつ最新のデータを収集できるように、システム全体のアップデートは欠かせない
  • 導入コスト:CRMのツールは多種多様に存在し、その費用も異なるため、導入段階での正確なコストの見積もりが不可欠。社内にCRMのメリットを浸透させるまでには、ある程度の時間と人的コストも必要となるため、それらもコスト計算に加える必要がある
  • 時間の制約:CRMは導入してすぐに効果が出るものではなく、中長期で運用してはじめてその効果が実感できるものであるため、短期間で判断しないことが重要となる。同時に、導入の目的を明確化し、社内で時間をかけて運用できる体制づくりにも取り組まなければならない
  • システムの使用方法:CRMシステムを適切に活用するためには、社員がシステムの使用方法を十分に理解し、それを日々の業務に統合できなければならない。そのためには使いやすいツールを選ぶことも大切だが、社員の教育や社外からの知見を持ったプロフェッショナルを招へいすることも検討する必要がある
  • CSR(企業の社会的責任):CRMは膨大な量の顧客データを扱う必要があるため、その個人情報を安全に保管しプライバシーを尊重するリテラシーと体制構築が重要。企業は、CRMシステムのセキュリティとプライバシー保護に関するガイドラインを遵守しなければならない

CRMは顧客エンゲージメントを向上させるための強力な武器となり得ますが、その成功には、データの質の担保や適切なシステムの使用、そしてCRMに取り組む企業全体のマインド形成が大きなカギとなっているのです。

まとめ~CRMの活用を推進するために

CRMの活用を推進するために

企業が持続的なビジネスの成長を達成するためには、顧客エンゲージメントを強化することはもはや欠かせない施策です。

また、そのためにはCRMを効果的に活用することが、企業競争力を高めていくための重要な戦略なのです。

自社ビジネスに関わる全てのステークホルダーがその重要性と利益を理解し、それに基づいた行動を取ることは成否を分ける大きなポイントとなるでしょう。

そのためには、CRMシステムの導入と活用に関する適切なトレーニングなどの取り組みも重要です。

加えて、データの質を維持し、プライバシーとセキュリティを確保することも重要な要素です。

これらを全て適切に管理・実施することで、企業は顧客からの信頼を得て、エンゲージメントを強化することができるのです。

その道中は決して簡単なものではないかもしれません。しかし、CRMの導入と適切な活用が実現できれば、企業は顧客の満足度とロイヤルティを向上させるだけでなく、顧客体験をパーソナライズし、持続的な競争力を強化することも可能となるでしょう。

貴社におかれましても、今一度顧客エンゲージメントの向上について全社で向き合い、CRMを導入した効率化を目指してみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

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