本物のDX推進を行うための外注企業の見極め方・付き合い方

本物のDX推進を行うための外注企業の見極め方・付き合い方

DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)の推進は、自社の業務・ビジネスのあり方を根底から変革していくことを目指します。そのためには、現状の経営状態を見通す客観的な目や、ITへの専門的な知識など、実に幅広い知見が必要です。

そのすべてを自社でまかなうことは現実問題として難しく、パートナーとしてITベンダーやコンサルティング会社と組むことも視野にいれるべきです。

しかし、実際のところすべての企業がDX推進の手助けになるとは限りません

この記事では、自社にあった適切な外注企業を見極めるポイントをご紹介するとともに、本物のDX推進を行うための良い付き合い方について解説いたします。

ベンダーとコンサルタント

ベンダーとコンサルタント

DXを推進するために外注企業とパートナーシップを結ぶ場合、パートナー企業として代表的なのは、「ベンダー」または「コンサルタント」という業務形態の企業です。

まずは、この2つの違いについて理解しておいてください。

販売者であるベンダー(Vendor)

IT業界独特の業態としてはベンダーがあります。

他の業界ではあまり使われないベンダー(Vendor)とは、「売り手」や「販売者」という意味を持つ言葉です。

IT業界では、製品やサービスを販売する企業のことを指し、IBMや日立製作所、NTTデータなどの大手企業もこの分類に属します。

自社で製品やサービスの開発も行う企業も多くありますが、単に開発のみを行う企業をベンダーと呼ぶことはありません。

中小のベンダー企業などの場合は、自社での開発製品だけでなく、他社の製品も含めて取り扱うことも多く、そうした企業はマルチベンダーと呼ばれることもあります (単一メーカーのみの取り扱い企業はシングルベンダー)

DX推進を担うコンサルタント

対してDXコンサルタントは、企業のDX推進を包括的に手助けすることが業務内容です。

その過程でベンダー企業が提供する製品やサービスを導入したり、場合によっては専用のシステムを開発したりと、企業ごとの課題にあった適切な戦略を共に考え、実行していくのがコンサルタントです。

コンサルタントには、自社でシステムの開発や販売まで行うケースから、ノウハウのみを提供するケースまで、規模や実態によってさまざまな会社が存在します。そのため、その見極めには特に注意が必要です。

形だけのベンダー/コンサルタントには要注意

ベンダーにしてもコンサルタントにしても、その実態はさまざまなので、「どこに頼んでも大丈夫」というわけではありません。

  • 取り扱う製品について、あまり詳しい知識を持ち合わせていない企業
  • DXコンサルタントを名乗っているが、DXの本質を分かっていない企業
  • 対応できる分野が限られているのに、包括的なコンサルを引き受ける企業

上記のようなベンダーやコンサルタントは枚挙にいとまがなく、そのような企業をパートナーに選んでしまった場合、時間とお金をドブに捨てることになりかねません。

特に近年は、一部のベンダーやWeb制作会社、Webコンサル会社などが、時代の流れに合わせてDXを売り物にすることも多くなりました。

しかし、それらの企業がすべてDXとデジタライゼーションの違いを理解していたり、DXの本質を理解しているとは残念ながら言えないのが現状です。

パートナー企業となるベンダー/コンサルタントが、どのようなことに、どれだけ対応することが出来るのか。

その企業と組むことで何が実現できるのかを把握し、自社が抱える課題の克服につながるかを見極めていくことが、外注企業との正しいパートナーシップのあり方と言えるでしょう。

本物のDX推進を行うための外注企業の見極め方

本物のDX推進を行うための外注企業の見極め方

では、本物のDX推進を行っていくためには、どのような外注企業を選べばいいのでしょうか。

この問いに対する答えは、それぞれの企業が抱える課題やその状況によって複雑に条件が変化します。そのため、一概には答えが出せませんが、今回は外注企業を選定する際の一助となるポイントをご紹介します。

ベンダーの見極めポイント

中小のITベンダーを選ぶ場合は、その企業の得意分野を確認することが大切です。

オールマイティな開発・販売を中小のITベンダーに期待するのは現実的ではありません。しかし、どこからどこまでを専門(得意)としているかは、良心的なベンダーであれば必ず明らかにしているでしょう。

データベース構築に特化してる、アプリ開発のスペシャリストであるなど、各々のITベンダーの得意分野を見極めることが第一歩です。

裏を返せば、具体的な専門(得意)をアピールできないITベンダーには注意が必要だということになります。

自社が抱える課題を克服したり、足りない視点を補ったりするために、どの分野のスペシャリストの知見が必要なのかを理解していれば、パートナーとして選ぶべきベンダーも自ずと絞り込めるでしょう。

DXコンサルタントの見極めポイント

得意分野を確認することがベンダーの見極めポイントでしたが、コンサルタントの場合はどうでしょうか。

実は、コンサルタントを見極める場合は、この考え方が180度変わります。

DXコンサルの役割は、企業のDX推進を包括的にサポートすることです。仮に、コンサルティング企業が独自の製品やサービスを有していなかったとしても、クライアント企業の課題を的確に解決できる提案ができればよいのです。

そのため、 コンサルティング企業にとっては、 一部の分野に特化することよりも、幅広い分野の知見を有していることが重要です。つまり、コンサルタントを見極める際は、「さまざまな分野のプロフェッショナルとどれだけネットワークを築いているか」が重要なポイントになるでしょう。

社長・担当者の人物を見る

社長・担当者の人物を見る

「企業のDX推進」という目標を達成するためには、パートナー企業が問題解決のためにどれだけ寄り添い、自社の利益にどれだけ貢献してくれるかが重要なポイントです。

それを最終的に決定づけるのは「人」ではないでしょうか。

どれだけ優れた製品・サービスを持っているか、どれだけ幅広い知識を持っているか、どれだけ費用が安いか。これらは外注企業を見極める1つのパーツにしかなりません。

DX推進という大きな目標を達成するためには、「いかなる時も共に問題を解決していく」という覚悟が外注企業にも求められます。そうした真のパートナーシップを結べる相手かというのは、やはりデジタルでは測れない人間性に行き着きます。

相手企業に出向き、その企業の雰囲気を肌で感じること。直接、社長や担当者とミーティングを重ね、その人物を見極めること

特に、プロジェクトを共に推進していくパートナーであれば、互いに企業の垣根を超えて意見し合うこともしばしばです。

社長や担当者と「人間として付き合えない」と感じる企業をパートナーに選ぶのは、やはり心もとないといわざるを得ません。

外注企業と付き合う時の注意点

外注企業とうまく付き合う時の注意点

ここまでは、ベンダー/コンサルタントなど外注企業の見極め方について解説してまいりました。

ところで、ベンダーとコンサルはどのように使い分けたら良いのでしょう。

これを判断するためには、自社のDX推進担当部署や経営者自身のDXに関する理解とスキルレベルが判断基準になります。

例えば、社内にしっかりとしたIT担当部署があり、一定以上の知識とスキルをもった担当者を抱えている企業の場合は、ビッグデータの活用や独自のシステム開発などといった、一部の業務のみをベンダーに外注することが最も効率的です。

しかし、高度な専門知識を持つ担当者がいない企業や、DX自体に取り組み始めたばかりの企業の場合は、DX推進を包括的に相談できるコンサルタントと契約するのも良いかもしれません。

どちらの場合でも、自社の現状を判断した上で、必要な部分のみを外注企業に委託するといった考え方は必要です。

よく分からないからといって、外注先に仕事を丸投げするのは非常に危険を伴います。

2025年の崖問題で、経済産業省のDX推進ガイドラインでも警鐘が鳴らされているように、レガシーシステムの問題点の1つに「システムの内容をベンダー企業しか分かっていない」というものもあるのです。

すべてを任せきりにするのではなく、自社でも同時に学ぶ姿勢は必須であり、中にはそのための人材教育まで受け持ってくれるコンサルタント企業もあります。

まとめ

複雑化する企業のDX推進を、効率的に成功へ導く施策の1つとして、外注企業の見極め方、および上手な付き合い方について解説してまいりました。

ベンダーとコンサルタント。

この2つは似ているようで非なるものです。ただし、中には、どちらの役割も担える企業も存在します。

IT企業はまさに玉石混交。数多ある企業から、本物のDX推進の役に立つ企業を探し出すことは非常に難しいものです。自社の課題を見極め、どの企業なら要望に応えてくれるのかを適切に判断するための判断基準は必要不可欠です。

パートナー企業を見極めるためにも、相手にすべてを任せきりにせず、どこまでは自社でできて、どこからは外注に任せるのかなどをしっかりと把握することが大切です。また、DX推進の中で、分からないことは自社のスタッフも分かるように学んでいくという努力も求められます

DX推進は、クライアント企業と外注企業のどちらかの努力だけでは十分な成果を望めません。

真のパートナーシップとは、互いが企業の垣根を乗り越え、共に高め合おうという意志があってはじめて成功するものなのです。

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この記事の執筆者

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。 最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。 2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ

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