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2022年以降、確実にDX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)トレンドの中心となる「メタバース」。
既に多くの企業がビジネスに取り入れ始めていますが、あなたはメタバースについてどのくらい知っていますか?
DXの推進は、新しい情報や技術を取り入れながら企業価値を高めることが求められます。メタバースはまさにそれを具現化させ 、活用方法によっては新たなビジネスチャンスを数多く生み出す、大いなる可能性を秘めた世界です。
そこで今回は、メタバースの概略を解説した上で、実際に活用している企業の事例をご紹介します。
メタバースがもたらす可能性に溢れた世界から、新たな企業価値を生み出すヒントを探してみてください。
メタバースとはどのような世界なのか

メタバースとは、メタ(meta/超越した、次元が高い)と、バース(verse/ユニバース:universe、宇宙)を組み合わせた造語で、 インターネット上の3次元仮想空間を意味します。
メタバースの世界で可能になることは?

メタバースの世界では、プラットフォーマーが提供する仮想空間の中で、自分の分身となるアバターを操り、不特定多数の人とコミュニーケーションをとることができます。
これだけ聞くと、以前から存在していたオンラインゲームをイメージさせますが、メタバースはさらにソーシャルな世界を実現します。
メタバースは今までの仮想空間とは異なり、様々な領域のサービスやコンテンツがシームレスに繋がり、あたかも仮想空間で生活しているかのような錯覚と没入感を得られます。今までのように、一時的にオンラインゲームの世界に遊びに行くのではなく、仮想空間の中にもう一つの現実世界が生み出させるのです。
今後さらに技術が発展すれば、世界中の言語が瞬時に翻訳され、国籍・人種・年齢・性別・セクシャリティなどにとらわれない、自由な世界を作ることが可能です。
メタバースにおけるビジネスの参入

メタバースは新たな産業を創出できる世界です。
仮想空間の中で様々なコンテンツの提供が可能になれば、必然的にビジネスチャンスが生まれます。なぜなら、メタバースの世界を充実させるためにプラットフォーマーは、様々なステークホルダー(企業の利害関係者)との商取引を行うようになり、仮想空間の維持と発展のための協力関係を強めていくことになるからです。
メタバースの世界を構築する段階において必要なコンテンツやサービス、アプリケーション、インフラなど様々な分野にとっては、大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
また、メタバース内では現実世界と同等の生活と経済活動を行うことが出来るため、既存のビジネスを応用して新たに創造できる価値があります。
【メタバースにより生まれる新しい価値の例】
- アバター向けデジタル資産の販売
- コミュニティーによるブランド力の向上
- リアル商品への付加価値
メタバースは単なる仮想空間ではなく現実世界との架け橋となり、業種や規模を選ばないBtoB(Business to Business:企業が企業を対象に行うビジネス)またはBtoC(Business to Consumer:企業が一般消費者を対象に行うビジネス)のビジネス展開が可能になります。
メタバースの世界に進出することで、現実世界に立ちはだかる様々な壁を一気に越えていけるかもしれません。
もちろん、メタバースが真の意味でもう一つの現実世界になるためには、仮想空間を現実と錯覚するほどのリアリティが不可欠です。そのためには、VR(Virtual Reality:人工現実感)やAR(Augmented Reality:拡張現実)を可能にする高度なデバイスの開発や、ラグのない安定的な稼働を可能とするためのインフラの整備も必要になります。
つまり、メタバースにおいては「現実世界と仮想空間を繋ぐ」という新たなビジネスの需要も生まれるのです。
このようにメタバースには多くのビジネス参入の機会があり、全世界の様々な企業が多額の投資を行ってビジネスチャンスを狙っています。
メタバースとブロックチェーン

出典:株式会社日本政策投資銀行 産業調査部/DBJ Research「AR/VRを巡るプラットフォーム競争における日本企業の挑戦」より
全世界とシームレスな仮想空間を実現するには、ブロックチェーンの技術が必要不可欠です。
メタバースの世界では、仕事やプライベートのために各プラットフォームを横断することになるでしょう。
プラットフォームを横断するには相互互換性が必要になりますが、どこかの組織や企業が中央集権的に一括でデータを管理するのは現実的ではありません。
「各プラットフォームによるデータの管理」と「相互互換性が担保されたシームレスな仮想空間」を同時に実現するためには、ブロックチェーンの技術を活かした、DAO(Decentralized Autonomous Organization:自立型分散組織)が必須になるのです。
さらにプラットフォームの相互互換性を高めるためには、国の法定通貨に依存しないメタバースで使える仮想通貨も必要になります。
このようにメタバースとブロックチェーンの技術は、切り離して考えられない関係なのです。
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