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企業のメタバース活用事例
2021年は「メタバース元年」と言っても過言ではないほど、多くの企業が参入や事業展開を表明しました。
アパレルブランドを展開する株式会社ANAPが、メタバース領域に参入することを発表した瞬間にストップ高になるなど、 株式市場においてもメタバースに対する期待と感度が高まっています。
既にメタバースに関するビジネスは動き始めているのです。
それでは、実際にメタバースを活用したビジネスの事例を見ていきましょう。
サンリオ
「ハローキティ」や「マイメロディ」など、キャラクターのライセンスビジネス等を展開している株式会社サンリオ(以下、サンリオ)は、メタバースを活用した音楽イベントを開催しました。
現実世界では、コロナ禍でイベント開催の自粛が求められていましたが、感染症のリスクがないメタバースの世界では、ユーザーも安心して過ごすことができます。
サンリオの音楽イベントでは、仮想世界上に複数のフロアを設けてライブが行われました。有料フロアでは、バーチャルアーティストのライブが行われました。また、無料フロアではサンリオキャラクターのライブが開催されました。
さらに無料フロアでは、サウナやカフェなどが設置され、コミュニケーションスペースとしても利用可能な空間を提供し、バーチャルショップも展開してデジタルとリアルグッズを販売しました。
サンリオは、メタバースの世界にいち早く参入し、バーチャル空間を最大限に活かして新たなビジネスの収益化、ブランド認知の拡大、コミュニティーの活性化に繋げたのです。
サンリオはテーマパーク事業も展開しているため、今後はイベントだけではなくVRを活用したさらなる体験型エンターテイメントの展開も狙っています。
ナイキ
フットウェアやアパレルブランドを展開している、ナイキ(Nike)はオンラインゲームのプラットフォーム「Roblox」に、メタバース空間「NIKELAND」を開設しました。
NIKELAND内にはNike本社に似た建物がデザインされており、自分のアバターを設定することで、空間内にある施設で様々なスポーツを体験できます。
またナイキは2021年12月に、バーチャルスニーカーなどのアイテムを制作するRTFKT買収について合意したと発表しました。
ナイキはデジタル化を加速すると公表しており、今後メタバース内でナイキ製品の装着やコレクションが可能になるでしょう。スニーカーやスポーツウェアなどデジタル資産の販売を狙っており、新たなビジネスモデルにいち早くアジャストした企業といえるでしょう。
日産
自動車メーカーである日産自動車株式会社(以下、日産)は、期間限定イベントとして仮想空間上に「NISSAN CROSSING(日産クロッシング)」を2022年1月11日にオープンする予定です。
そのイベントでは、仮想空間上にEV(Electric Vehicle:電気自動車)の「アリア」を設置して、「日産アリアとめぐる環境ツアー」をテーマに世界の地球温暖化問題を考えるツアーを開催します。
メタバースは、体験型イベントとしてリアル世界と錯覚するほどの没入感を得られるため、通常のオンラインイベントと比較して、企業理念やメッセージが伝わりやすく、顧客の創造やファン化が期待されるでしょう。
日産は、メタバース内でカーボンニュートラル(製造業における環境問題に対する活動)をユーザーと一緒に考える機会を提供することにより、環境問題に取り組む企業価値と商品価値を上げることを目指しています。
まとめ
今回は、既に多くの企業が参入し始めているメタバースの基礎と企業の活用事例を解説しました。
メタバースは、インターネットの枠を超えた現実世界との融合により、社会や産業の根底を大きく変えるパラダイムシフトを起こす可能性があるフロンティアです。
メタバースを産業化するには、法律やガイドラインなど整備すべき課題はまだまだ残されています。
しかし、未完成な産業(ブルーオーシャン)だからこそ、大きなビジネスチャンスが眠っているのもまた事実です。
加速度的な進化が予測されるメタバースの可能性と真剣に向き合い、ビジネスの拡大を狙ってみるのも、これからのDX推進による新たな企業価値向上を担う貴重な一手となるかもしれません。