DXで革新的な旅行体験「タップホスピタリティラボ沖縄」が示すホテル業界の未来

DXで革新的な旅行体験「タップホスピタリティラボ沖縄」が示すホテル業界の未来

「タップホスピタリティラボ沖縄」3つの実証実験

THLは、ホテル業界におけるDXを具現化するために、複数の実証実験を行っています。

これらの実験は、ホテル運営の効率化、顧客体験の向上、そして環境持続可能性への配慮を目的としています。

THL Appの革新的機能

THLの画期的な取り組みの1つは、ホテルの利用に関わるすべてのサービスの利用がスマートフォン1台で完結できることにあります。利用客は自分のスマホにLINEと連携している『THL App』をダウンロードするだけで、THLでの滞在を自由にカスタマイズすることができるのです。

例えば、事前に好みの部屋を予約しておけば、フロントを通らずにスマホでチェックイン・チェックアウトを行うことが可能です。もちろん、レストランなどの支払いも含めて、全て決済に関してもアプリ内で完結することができます。

また、アプリ内のチャット機能を使って、フロントデスクやコンシェルジュに質問することもできる点も魅力です。

追加の枕やタオル、ルームサービス、ランドリーサービスなどもリクエストできますし、周辺の観光情報やレストランの予約もアプリから直接行えるなど、宿泊客の利便性向上の大きなカギとなる機能がアプリ1つに備わっているのです。

ロボットテクノロジー

THLでは、ロボットテクノロジーの導入により客室サービスや清掃作業を自動化しています。

例えば、配達ロボットが宿泊客の部屋まで注文された食事や飲み物を運びます。清掃ロボットは、共有スペースや廊下の清掃を担当しています。これらのロボットによる自動化は、「サービスの質の低下」や「顧客が満足するホスピタリティを提供できるのか」などといった疑念がつきまとうでしょう。

THLは、まさにそうした疑念に対して、実際の体験から答えを見つけてもらう実証実験の場としても機能します。実際のホテル業務を実証実験の場として提供することで、DX推進の大きな壁の1つである「人の心に働きかける難しさ」を越えようとしているのです。

実際にロボットの導入は、スタッフの負担を軽減するだけでなく、食事や飲み物の提供時間の短縮や、清掃の効率と質を向上させています。

THLの画期的な点は単にロボットを導入したということだけではありません。これまでホテル業界でのロボット活用といえば、単体のロボットが人の作業を代わりに行うレベルのものでした。

しかし、THLではロボットがホテルの基幹システムであるPMS(Property Management System:複数の旅行会社やインターネットでの予約管理を効率化するシステム)や建物管理システムとデータ連携しているのです。

それにより、複数のロボットが同時に館内を動くプログラムを統合的に制御することが可能になっています。これを実現するために、ロボットの大きさと通路やドアのサイズバランスを含めた建物の設計デザインそのものから、ロボットテクノロジーとの調和を目指して作り上げられているのです。

このテクノロジーの活用は、人的リソースの最適化に寄与し、スタッフをより顧客対応に集中させることができることに加えて、人件費の削減や労働力不足への対応という経済的な利点ももたらします。

SDGsへの取り組み

THLは、その運営及び施設内での各種実証実験を通じて、国連で採択されたSDGsの17のゴールのうち、13のゴールについて重点的に取り組み、環境への影響を最小限に抑えつつ、地域社会との調和を目指しています。

一例として、エネルギー効率の高い設備やリサイクル可能な資材の使用、さらには地域の生産者と連携して地元の食材を利用することで、持続可能な消費を促していることなどが挙げられます。

特にエネルギー効率の向上問題に対しては、基準建物に対して消費する年間のエネルギー消費量の61%(創エネ含む)削減を達成し、『ZEB Readyを取得しました。

また、THLは『心のバリアフリー制度』認定施設でもあります。『心のバリアフリー制度』とは、バリアフリー対応やそれらについての情報発信に取り組む姿勢のある施設を対象とした制度で、国土交通省官公庁により創設されました。

この取り組みには、先述のロボットテクノロジーも活用されており、全ての人が社会に取り残されないように障害者とロボットとの共生実証を行うことも含まれています。

さらには、地元文化や伝統を尊重し、それらを活用したイベントや体験プログラムを提供することで、宿泊客に地域の魅力を伝え、地域社会の経済活動に貢献しています。

また、THLはうるま市の避難所(ラストリゾート)として認定を受けているなど、持続可能な観光とビジネスを促進し、地域との協力関係を築いているのです。

*ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)とは、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物建物で消費する年間の一次エネルギー消費量基準から50%以上削減した建物のこと。

引用:環境省ZEB PORTAL

まとめ~「タップホスピタリティラボ沖縄」が示す新しいホテル体験の可能性 

「タップホスピタリティラボ沖縄」は、ホテル業界におけるDXの実例として、未来のホテル体験を具現化する施設です。

この施設が採用する革新的なテクノロジーとサービスモデルは、より快適で効率的な旅行体験を可能にし、業界全体に新たな基準を提示しているといって良いでしょう。

THLの先進的な取り組みは、ホテル業界に留まらず、他のビジネス分野にも多くの示唆を与えてくれるはずです。

  • デジタル技術を活用して顧客体験を向上させること
  • 効率的な運営モデルを構築すること
  • 持続可能な開発目標(SDGs)に対する貢献を考慮すること

これらのアプローチは、多岐にわたる業界での応用が可能でしょう。

ぜひとも、THLの取り組みをDX推進事例の好例と捉え、この先進的な取り組みから学び、自社のサービスやビジネスモデルの革新に取り組んでみてはいかがでしょうか。

ビジネスの未来は、常に進化し続けるテクノロジーと、それを取り入れる革新的なアイデアによって形作られるのです。

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DXportal®編集部

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