デジタルワークプレイスに必要な環境設定

テレワークであっても従業員が快適かつ効率的に働くことができる職場は、「デジタルワークプレイス」と呼ばれています。テレワークを導入して、企業と従業員がそのメリットを享受するためには、適切なデジタルワークプレイスの環境設定が不可欠です。
この環境設定にはいくつかの異なる方式があり、それによって必要なハードウェアやツール類も異なりますが、今回はどの方式を採用する場合でも必要だと思われるツール類について解説します。
ハードウェア
まず、テレワークの肝であるPCの準備です。これに関しては、次の2つの選択肢が考えられます。
- 会社貸与:同一のスペックかつセキュリティ対策を施した環境で業務を実施できるため環境設定を一定レベルに保つことが可能。その反面、PCのリース費用等多額の投資が必要な場合もある。
- 私用PCの流用:社員への補助などを除き、機器自体の費用は発生しないため、コストを抑えてテレワークを導入できる。一方で、、セキュリティレベルを含めて、一定かつ安定した業務環境を構築することが困難になる。
どちらを選択するかは、企業の規模や業種、セキュリティポリシー、そして従業員のITスキルなどを考慮して決定する必要があります。
PCに加えて、オンライン会議用カメラ、マイク、スピーカー、ヘッドセット/イヤフォンなども必要に応じて準備しましょう。また、中長期的には、テレワーク時間の長い従業員に対しては、人間工学に基づいた楽な姿勢で作業できるキーボードやマウス、外付けモニターなども導入することで、作業効率や健康状態の改善を図ることも検討しましょう。
通信環境
テレワークでは、大量のデータ通信が発生する場合も少なくありません。そのため、安定した高速なインターネット回線が不可欠です。光回線やWi-Fiルーターなどを導入し、快適な通信環境を整えましょう。また、業務内容によっては、モバイルWi-Fiルーターを導入することで、場所を選ばずにテレワークを行うことも検討するべきでしょう。
セキュリティ対策ソフト
テレワークでは、セキュリティ対策が特に重要です。情報を安全に守るための主な施策は次のとおりです。
- ウイルス対策ソフト:定期的なウイルススキャンを行い、最新のウイルス定義ファイルを常に適用する
- ファイアウォール:不正アクセスからパソコンやネットワークを保護する
- EDR(Endpoint Detection and Response):エンドポイントと呼ばれるパソコンやスマートフォンなどの端末を監視し、悪意のある行為を検知・対応する
- 多要素認証:パスワードに加えて、生体認証やワンタイムパスワードなどを組み合わせることで、セキュリティを強化する
オンライン会議システム
オンラインでリアルタイムに音声や画像の通信を行うためには、専用ツールを各PCにインストールする必要があります。ビジネスシーンでも良く利用される代表的なツールは以下の通りです。
- Zoom
- Microsoft Teams
連絡ツール
オンライン会議だけでなく、チャット形式で業務に関する日常的なやりとりをできるツールも重要です。テキストでのチャットに加えて、画像や資料のリアルタイム共有も可能な代表的な連絡ツールは以下の通りです。。
- Microsoft Teams
- Chatwork
- Slack
プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールでは、単にプロジェクトを進めるためのタスクやそれに伴うスケジュール管理を行うだけでなく、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションをツール上で行うことも可能です。
複数のタスクが集中する繁忙期の特定や、各メンバーの業務負荷状況を可視化できるツールもあります。これらを見える化することはプロジェクトの進捗管理の効率化にもつながります。
- Trello(トレロ)
- Asana(アサナ)
- Backlog(バックログ)
- kintone(キントーン)
- InnoPM(イノピーエム)
- Todoist(トゥードゥーイスト)
勤怠管理システム
勤怠管理システムは、スタッフの就業時間管理・出社管理等のいわゆる労務管理を総合的に行うことが出来るシステムです。PCやスマホなどのデバイスからの打刻のみならず、ICカードや生体認証による打刻も可能なシステムもあります。これにより、従業員の勤務状況をリアルタイムで把握することが可能です。
- ジョブカン
- AKASHI(アカシ)
- IEYASU(イエヤス)
- jinjer(ジンジャー)
- F-Chair+(エフチェアプラス)
まとめ:テレワーク導入で実現する、生産性と幸福度の高い働き方
この記事では、テレワーク導入の現状と課題、そして解決策について2025年の最新情報も交えながら解説しました。テレワークは、コロナ禍の緊急措置として導入が進みましたが、現在では、多くの企業にとって、DX推進や働き方改革に不可欠な選択肢です。
テレワーク導入は、業務の可視化・効率化、従業員の生産性向上、ワークライフバランス改善、そして企業の事業継続性の確保など、様々なメリットをもたらします。
しかし、テレワーク導入にはコミュニケーション不足、セキュリティ対策、従業員のモチベーション維持など、様々な課題が存在することも事実です。
企業は、これらの課題を理解した上で、適切な解決策を導入することで、テレワークを成功させることができるでしょう。
なお、テレワーク導入を検討する際は、国や各自治体等が行っている情報発信をチェックし、助成金等の支援制度を積極的に活用することをおすすめします。
- テレワーク導入ガイドライン:テレワーク導入に関する様々な情報発信を行う
- テレワーク相談センター:専門家による相談や無料コンサルなどでテレワーク導入をサポート
- IT導入補助金:テレワーク導入に必要なITツール導入費用を補助
これらの制度を利用することで、テレワーク導入のコスト負担を軽減し、よりスムーズに働き方改革を推進することができるでしょう。
ぜひ、この記事を参考に、テレワーク導入による生産性と幸福度の高い働き方を実現してください。