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あなたは今、自分がいくつのサブスクリプションサービスに、合計いくら払っていますか?
この質問に、即答できる人は案外少ないのではないでしょうか。私もその1人で、契約しているサービスを全部並べて眺めたことは、一度もありませんでした。
動画配信サービス、AIツールだけでなく、公私を問わず課金しているサブスクサービスは、今や、我々の生活に深く入り込んでいます。とはいえ、1件ごとの金額が小さいぶん、増えていることにも、使わなくなったことにも気付きにくいのが厄介なところでしょう。
この記事では、私が契約しているサブスクの中身と、見直しの機会がほとんどなかった実態から、少額の積み重ねに気付けない理由を掘り下げます。あわせて、見直しの手間を軽くするツールと、サブスク料金の見直しが企業の契約管理にも通じるという視点も紹介します。読み終えたときには、ご自身のサブスクを見直すための視点と、その最初の一歩を軽くするヒントが手に入るはずです。
【本記事の要点】
- サブスクの積み重ねに気付けないのは、注意力ではなく仕組みの問題である。判断は最初の1回だけで、1件は少額で、請求はサービスごとにばらばらに届く
- 見直しの機会は、年1回の確定申告でカードの利用明細を確認するときだけだった
- 1件は数百円から千円程度でも、合計すると5千円から1万円規模になる。ただし全部やめればよいわけではなく、価値のある契約と見直す契約を分ける視点が大切である
- 見直しの手間を軽くするWEBツールも登場している。契約の見直しは、企業のDXにおいても地味だが欠かせない土台の作業である
サブスクの棚卸しができていなかった実態
まず、私が今どのようなサブスクを契約しているのかを挙げます。そのうえで、それを見直す機会がどれくらいあったのかを振り返ります。
現在契約しているサブスクの中身
私が契約しているサブスクリプションは、多岐にわたります。まず、複数のAI系ツールに月合計で1万円ほど。それに加えて、Amazon Prime、Netflix、勉強系の動画を広告なしで見るために契約しているYouTubeプレミアムやメンバーシップ。さらには、仕事で使っているチャットワークの有料プラン、Xのプレミアムプランと続きます。スマートフォンを取得したときにあわせて契約した、なんかよく意味のわからない料金も、このなかに入るかもしれません。
ところが、契約を一覧にして「今、自分は何にいくら払っているか」を確かめる機会は、意識してつくらない限り訪れないのです。
確定申告のついでにしか起きない見直し
私の場合、この手の見直しが実質的に発生するのは、確定申告の時期にカードの利用明細を精査するときくらいです。1年分の明細を確認していくと、「これ何だっけ」という項目に出くわすことがあります。そこで、すでに使っていない動画配信サービスなどに気付き、解約することもありました。
つまり、私にとってのサブスクの棚卸しは、実質的に年1回、しかも確定申告という別の作業のついでにしか発生していなかったのです。
サブスクの積み重ねに気付けない理由と、見直しの考え方
サブスクの積み重ねに気付けないのは、あなたの注意力が足りないからではありません。仕組みのほうが、気付きにくくできているのです。その理由を、3つに分けて見ていきます。
判断は最初の1回だけで、支払いは毎月続く仕組み
サブスクは、申し込むときに1回だけ判断すれば、あとは自動で支払いが続きます。毎月の支払いのたびに、「これはまだ使っているか」と尋ねられることはありません。買い物なら、お金を出すたびに立ち止まる機会がありますが、サブスクにはその機会がなく、支払っているという感覚そのものが薄れていきます。
調べる手間に見合わない、1件あたりの少額
1つひとつのサブスクの金額は、数百円から千円程度のものが多く、単体では「まあこれくらいなら」と流してしまえる金額です。しかも、見直すには、明細をさかのぼり、解約の手続きを調べなければなりません。数百円のためにそこまでするのは割に合わないと感じて、後回しになります。
しかし、これが積み重なると話は変わります。契約しているサービスを合計すると、5千円から1万円規模になっていることも珍しくありません。私も、改めて気づくと、無駄な支払いに気づいた経験は、一度や二度ではありませんでした。
サービスごとにばらばらに届く請求
請求は、サービスごとにばらばらに届きます。クレジットカードの明細に並ぶものもあれば、携帯電話の料金に含まれるもの、アプリストア経由のものもあります。全体を1つの画面で眺められる場所がどこにもないので、契約が増えても、使わなくなっても、それに気付くきっかけが生まれません。「これ何だっけ」というサブスク契約は、この状態から生まれてしまうのです。
解約ではなく、価値で分ける視点
ここまで書くと、「サブスクは無駄だからやめるべきだ」という話に聞こえるでしょう。ですが、ここではそんな極端な話をしたいわけではありません。たとえば、私が契約を続けているサブスクには、それぞれに意味があります。
- 動画配信サービスには、エンタメとしての価値がある
- Amazon Primeには、利便性がある
- YouTubeプレミアムや有料チャンネルは、スキルアップの機会になる
このように、価値観は人それぞれですが、大事なのは、すべてを否定することではなく、意味のあるものと、見直すべきものを分けて考える視点を持つことが重要なのです。人から見ればどうでもいいように思えることでも、本人が必要だと感じられるのであれば、それはムダな支出ではないのですから。
サブスク棚卸しを支えるツールと、企業DXへのつながり
見直しは手間がかかるからこそ、後回しになりがちです。その手間を軽くするWEBツールと、AIの活用アイデアを、まず紹介します。そのうえで、個人の財布のなかにとどまらない、企業の契約管理との共通点を考えてみましょう。
契約を数える手間を軽くするツール「SubsQuick」
こんなことを考えていたある日、私はインターネット上で、こんなツールの紹介を見かけました。それは、benribook(便利ブック)が公開している「サブスクイック(SubsQuick)」です。本章では、同ツールの公式ページに書かれている内容に基づいて、このサービスについて考えていきましょう。
SubsQuickは、契約しているサブスクをタップで選ぶだけで、月額の合計を出してくれるツールです。特徴は次のとおりです。
- スマートフォンのアプリではなく、ブラウザで開いて使うWEBツールである
- 動画配信、AI、クラウドストレージなど、67のサービスから選べる
- 契約中のサービスをタップして選ぶと、月額の合計が自動で計算される。年払いのプランは、月割りにして合計される
- 登録やインストールは不要である
- 選んだ内容はブラウザ内に保存され、氏名や連絡先などの個人情報は収集していないと案内されている
私がおもしろいと感じたのは、棚卸しの最初の一歩を、ここまで軽くしようとする発想です。契約を洗い出し、合計を確かめるという手間が、このツールでは数回のタップで済むように作られています。
公式ページでは、このツールで契約を選んだ利用者の集計として、2026年8月時点で月額合計が平均8,421円(中央値4,636円/1,803ブラウザ)と公表されています。1件ずつは数百円でも、並べれば5千円前後から1万円近くになります。
これは、前述のサブスク平均値として考えていた、5千円から1万円規模という私の感覚と、大きくは変わらない水準ではないでしょうか。
出典・参照:
AIに使用頻度だけを調べさせる構想
SubsQuickでも、契約中のサービスを思い出して選ぶのは自分です。この手間まで省けないかと考えると、カードの利用明細をAIに読ませる方法が浮かびます。ただ、明細をすべてAIに渡して精査させるのは、セキュリティ上さすがに現実的ではないと考えています。それでも、契約しているサービスの使用頻度だけを調べさせるような形で、AIをうまく活用できたらおもしろいのではないか、というアイデアがあります。棚卸しの手間そのものを軽くする方向性には、期待したいところです。
企業の契約棚卸しとの共通点
実はこの棚卸しは、個人のサブスクに限った話ではありません。企業のDXでも、無駄な契約をしていないか、使われていないAIツールの契約が部門ごとに積み重なっていないかを棚卸しして、利益を最適化することが欠かせません。それは、華やかなDX施策を語る以前の、地味だが大切な土台の作業です。
以前、当サイトで灯台の歴史とAIツールのバラバラ課金の関係を取り上げました。そこで紹介した調査(SaaS管理サービスCledaraのレポート)では、企業の85%がAI関連のサブスクリプションを持ち、平均で4.5種類のAIツールを契約していると報告されていました。
個人の財布のなかで起きていることと、企業のシステム部門で起きていること。それは、実は驚くほど似た構図をしているのかもしれません。
出典・参照:
まとめ:少額の積み重ねは、数えなければ見えない
サブスクリプションは、もはや生活や仕事に欠かせないものになりました。サブスクは、判断が最初の1回で済み、1件は少額で、請求もばらばらに届きます。だから、数えなければ積み重なりに気付けません。私の見直しも、年1回の確定申告のついででしか起きていませんでした。この構図は、個人の財布にも、企業のツール契約にも共通しています。
次にカードの利用明細を眺めるとき、確定申告を待たずに、契約しているサブスクを一度全部書き出してみるのはいかがでしょうか。
執筆者
DXportal編集長
町田 英伸
自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。『DXportal®』では、編集長としてすべての記事の企画、及び執筆管理を担当。特に店舗型ビジネスのデジタル変革に関しての取り組みを得意とする。「50s.YOKOHAMA」所属。


