DX(デジタルトランスフォーメーション/以下:DX)を推進する際に「クラウドの導入が必要」とよく言われますが、その中でも特に利用しやすいのが「受発注システム」です。
企業においては商品の受発注業務は必ず行っている作業であり、今まで電話やFAXを用いて行っていた業務や個別の業務アプリケーションシステムとして処理していたものをクラウドに移行することでDX推進の一助となります。
今回はクラウド型受発注システムについて、以下の2項目に分けて解説いたします。
- クラウド型受発注システムの利用により得られる効果
- クラウド型受発注システム導入に際する注意点
DX推進を担うIT担当者の方はぜひ参考にしていただき、クラウド型受発注システムのメリットや、効果を最大限活かすための考え方を取り入れてみてください。
目次
クラウド型受発注システムの利用により得られる効果
クラウド型受発注システムは、受注者と発注者が共通のプラットフォームを利用して契約、請求業務などを行うことが特徴的です。
導入して得られる効果としては、主に以下の3つが挙げられます。
- クラウド上で一元管理できる
- 人為的なミスの削減
- 関連業務の生産性向上
クラウド上で一元管理できる
1つ目は受発注に関わる作業をクラウド上で一元管理できることです。
従来紙面やFAXで行っていた作業をクラウドに集約することで、別々の方法で行っていた受発注作業を統一化します。
これにより仕入れ金額と請求書金額が合わないことなどが無くなり、発注履歴から必要な情報を素早く検索できるようになります。
クラウドに移行すれば帳表作成時間の短縮にもつながり、1人1人が受発注業務にかける時間を減らすことで、企業全体で見ると大幅な業務効率化が期待できるのです。
「DX推進のためにはクラウドの利用が必須」といわれる理由はここにあり、受発注業務はすべての企業が行っているからこそ、DXの最初の取り組みとして実施しやすい項目の1つでもあります。
人為的なミスの削減
クラウド型受発注システムのもう1つのメリットは、人為的なミスを削減できることです。
発注の進捗や在庫状況をシステムに反映させることで、発注漏れ・二重発注などのミスを減らせることにつながります。
またデータで管理すれば、必要事項の入力漏れや転記ミスが発生する可能性も下げられるのです。
電話やFAXなどを用いた作業だと「担当者が注意深く行うこと」しか対応策がなく、こうした課題は業務を進める中でトラブルになったり認識のズレにつながったりしてトラブルの元になります。
クラウド型受発注システムを導入することは、従来企業が抱えている「ヒューマンエラー」という課題を容易に解決できることを意味するのです。
関連業務の生産性向上
3つ目のメリットは受発注以外の在庫管理や、請求管理などの業務に活用できることです。
たとえば売上管理など他のツールとの連携により、1年のうちにどのくらいのサービスが売れ収益はいくらになったのかグラフに起こして可視化できます。
クラウド上に蓄積した受発注に関するデータを見れば、繁忙期に売れる数の傾向をあらかじめ知ることで、無駄なく商品を生産できるようになるでしょう。
さらに売上や商品の購買傾向をデータにすることで、現状を分析して人気が高い商品、改善するべきサービスなどが見えてきます。
このようにクラウド型受発注システムはあらゆる分野に応用が効くツールであり、関連業務のPDCAサイクルをまわすことを容易にするポテンシャルを秘めているのです。
他のツールと連携させることで分析を素早く行うことが可能になり、企業全体の生産性向上につなげられます。
クラウド型受発注システム導入に際しての注意点
クラウド型受発注システムはDXを進めるために最適なツールの1つですが、導入に際して気を付けたい事項が2つあります。
- 双方がメリットを享受できるシステムを選ぶ
- 自社にとっての費用対効果を検証する
これらをあらかじめ意識しておかなければ、システム導入後にメリットを最大化し享受することができません。
どちらの項目もDXの成功に欠かせませんので、クラウド型受発注システムの導入だけでなく、他の施策を実行する際にもこれらの考えを取り入れていただければと思います。
双方がメリットを享受できるシステムを選ぶ
1つ目の注意点は自社だけでなく相手方の視点も含めて、双方がメリットを享受できるシステムを選ぶことです。
クラウド型受発注システムの利用は自社だけでなく、取引先が同意したうえではじめて利用可能になります。
したがって取引先にも導入するメリットはあるか、また先方が得られる成果はどんなことが挙げられるかを考える必要があるのです。
- 使いやすい仕様なのか
- 要望に合わせてカスタマイズできるのか
- ツールが増えることによって業務が煩雑化しないか
取引先のそうした疑問を解決したうえで、それ以上のメリットがあることを理解してもらわなければ、システムの導入すらままなりません。
DXを進めるうえでは「自社の生産性向上」に目を向けがちですが、まずは「取引先を満足させる」ことを念頭に置いて施策を進めることがもっとも大切です。
自社にとっての費用対効果を検証する
2つ目に気を付けるべき点は、自社にとって費用対効果があるか検証することです。
クラウド型のシステムは比較的コストをかけずに導入できるので「システムを導入したからDX推進はできている」と安易に考えてしまう企業もあります。
しかし金額的なコストだけでなく、人的コストも含めて総合的な効果があるのか、導入したコストに見合った結果が出ているかを評価する必要があります。
指標の一例として、クラウド型受発注システムを利用する前後の営業担当が事務作業にかけている工数はどう変化したのか。
またシステム導入後の売上推移はどう変わったか等を記録することで、具体的な費用対効果を検証できます。
費用対効果の評価方法については以下の記事で解説していますので、参考としていただければと思います。
このように「取引先の視点」「費用対効果の検証」の2つを確認することで、ただシステムを導入するだけでなく、DX推進による成果を向上させる可能性が高まります。
どのクラウド型受発注システムを導入するか検討されているようでしたら、導入実績や機能性の充実に定評がある以下の3つのリンクも掲載しますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
【定評があるクラウド型受注システムの例】
まとめ
DX推進の手段として有効なクラウド型受発注システムのメリットと、導入に際する注意点を解説いたしました。
「まずはクラウドの導入」という段階から始められる企業担当者の方は、クラウド型受発注システムをDX推進を加速させる足がかりとして、業務効率化や課題の解決を図ってみてください。
ただ、システムを導入する際は「取引先の視点」「費用対効果の検証」を忘れずに施策を実行することが重要です。
これらの考え方を取り入れることによって、他のDXプロジェクトを進める際にも成果が出やすくなり、企業全体の生産性向上につながります。
あくまでもクラウド型受発注システムの導入はDXにおける最初のステップであり、今後大きな成果を出すための手段の1つとして、長期的にビジネスを変革していってください。