- share :
WEBサービスにおける本人確認の煩雑さが、優良な顧客を遠ざけてしまっている状況に心当たりはないでしょうか。スマートフォンのカメラで身分証を撮影し、厚みを確認するといった手間のかかる作業は、ユーザーにとって大きなストレスに他なりません。
ユーザーが手続きの途中で離脱してしまうことは、マーケティング投資の損失に直結する深刻な経営課題です。
こうしたユーザーのストレスを打破する鍵が、マイナンバー連携による公的個人認証サービスの導入にあるかもしれません。
そこで本記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるマイナンバー連携の戦略的価値と、迅速な実装手法を提示します。この記事を通じて、顧客体験の劇的な向上と、2026年の法改正を見据えた強固なガバナンス体制を構築するヒントを得てください。
【本記事の要点】
- 公的個人認証サービス(JPKI)の導入により、本人確認工程での離脱率を劇的に改善できる
- 2026年4月の法改正への早期対応が、組織のコンプライアンスと信頼性を高める
- 既存のAPIやSaaSを活用することで、最短1週間での迅速なシステム実装が可能
なぜマイナンバー連携で本人確認の離脱率が下がるのか?

マイナンバーカードのICチップを活用する公的個人認証サービス(JPKI)の導入は、顧客体験を根本から書き換える施策となり得ます。
従来の本人確認書類の撮影や厚みの確認といった作業は、ユーザーに多大な負担となり、離脱の主因でした。JPKIの導入により、この面倒な作業が不要となり、スマートフォンをかざすだけの簡便なプロセスが実現します。
本章では、利便性を格段に向上させるスマートフォンの最新機能と、個人認証の驚異的な完了率を支えるデータの実態について詳述します。
スマホ1つで完結する「カードレス認証」がもたらす利便性
スマートフォンに搭載されたマイナンバーカード機能を活用すれば、ユーザーは物理的なカードの携行が不要となります。
2023年5月のAndroid対応に続き、iPhoneでも2025年6月以降、マイナンバーカード機能の利用が順次開始されました。2026年現在、対応するスマートフォンではカードを持ち歩かずに本人確認できる環境が広がりつつあります。
JPKIは生体認証との組み合わせにより、暗証番号の入力の手間を省きつつ、セキュアなアクセスを担保できる点が大きな利点です。また、パスワードの失念による離脱を防ぐこの仕組みは、利便性と安全性を高い次元で両立させる手法ともいえるでしょう。
【データで見る】ICチップ活用による完了率90%台超の実態
株式会社Liquidの2025年11月時点のデータでは、『犯収法ヘ号・携帯法ニ号方式(マイナンバーカードのICチップ活用)』がJPKI方式より約2割高い本人確認完了率を示しています。いずれもマイナンバーカードのICチップを活用する方式ですが、犯収法ヘ号・携帯法ニ号方式では暗証番号入力が不要なため、より離脱が少ないという分析です。
これまでの画像撮影方式での認証は「書類の表裏の撮影・厚みの確認」という2工程が必要でしたが、ICチップ活用型(JPKI)は「カードをかざす」という1工程に集約されます。この工程の簡略化により、従来の画像撮影方式で頻発していた写真の不鮮明さや、照明の反射による再提出などの問題が解消されました。
一度の操作で確実に認証が完了する体験は、顧客満足度の向上と、各企業の検品コスト削減を同時にもたらすでしょう。デジタルへの移行を成功させるには、こうした摩擦のないプロセス設計が不可欠なのです。
2026年4月の法改正とは?本人確認の義務化が経営に与える影響

マイナンバー連携の推進は、市場における競争優位を確立するための戦略的投資に他なりません。2026年4月に施行される携帯電話不正利用防止法の省令改正等により、非対面での本人確認はICチップ読み取り等の厳格な方式への移行が不可避となりました。
法規制への迅速な適応は、法的リスクの回避に留まらず、顧客に対する誠実な経営姿勢の表明に繋がるでしょう。
ここでは、法改正に伴う要件の変化と、厳格な本人確認体制が切り拓く市場機会について解説します。
参考:【ICチップ本人確認義務化に関する調査】導入拡大の一方で、ユーザーの操作課題も明らかに/LIZUID公式サイト、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集」で寄せられた意見/総務省
非対面契約における「画像撮影」廃止への早期対応メリット
2026年4月の法改正は、単なる手続きの変更ではなく、組織の透明性が問われる契機といえます。
非対面契約における本人確認では、従来広く利用されてきた「本人確認書類画像と容貌撮影を組み合わせる方式」や「本人確認書類の写し+転送不要郵便による方式」が、2026年4月の改正で原則廃止される予定です。その結果、マイナンバーカードの公的個人認証など、ICチップ読み取り等を用いた厳格な方式への移行が求められます。
この流れに先んじてDX経営の実装を進めることは、コンプライアンスを重視する企業姿勢を対外的に示す有効な手段となるはずです。
リアルタイム認証が実現する「即時契約」による競合他社との差別化
実印と同等の法的効力を持つ公的個人認証サービス(JPKI)は、取引の即時完結を実現します。
例えば、不動産売買や高い信頼性が求められる金融商品の契約におけるオンラインでの即時契約時などには、強力な差別化要因となるでしょう。
また、酒類販売の年齢確認やチケットの不正転売防止など、確実な本人特定が必要な場面での利活用は広がりを見せています。
| 項目 | 従来の方式(書類撮影等) | マイナンバー連携(JPKI) |
| 確認時間 | 数時間から数日(目視が必要) | リアルタイム(即時完結) |
| 完了率 | 煩雑さにより低下傾向 | 90代後半の事例報告もある高水準 |
| セキュリティ | 偽造書類の見落としリスクあり | ICチップによる高い真正性 |
| 郵送コスト | 転送不要郵便等のコストが発生 | 完全にゼロ |
執筆者
株式会社MU 代表取締役社長
山田 元樹
社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援を過去のエンジニア経験を活かし、エンジニア + 経営視点で行う。DX推進の観点も含め上場企業をはじめ多数実績を持つ。