【GAFAMの次はどこだ?】世界の次世代覇権予想⑥デバイス・次世代インターフェース部門|スマホの次の入口は誰が握る?

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AIの覇権争いというと、つい最新モデルの性能ばかりに目が向きます。しかし人間は、AIモデルそのものに直接触れているわけではありません。スマートフォン、PC、眼鏡、イヤホン、腕に巻いたバンド。我々は、何らかの物理的なインターフェースを通じて、はじめてAIにアクセスできます。

シリーズ5回目では、検索・SNS・EC・OS・業務環境という「入口」を握るGAFAM5社の強さを見てきました。今回はその入口のうち、最も物理的な部分、つまりデバイスそのものに焦点を絞ります。次の時代の勝者は、最も賢いAIを作った企業ではなく、人間が毎日AIに触れる「入口」を握った企業なのではないか。これが本記事の中心的な論点です。

【本記事の要点】

  • AI時代の覇権は、最強のAIモデルを作った企業ではなく、人間が日常的にAIへ触れる物理的な入口(スマートフォン・PC・スマートグラス・専用端末)を握った企業に近づく可能性がある
  • Apple・Meta・Google・Samsung・Qualcommの5社は、それぞれ異なる形で「スマホの次」に備えており、なかでもAppleのMac miniとMetaのAIグラスは、すでに需要が供給を上回るという具体的な実績を持つ
  • Even Realities、OpenAI、Rabbitといったダークホースは、既存の巨大企業とは異なる切り口で「スマホの次」の具体案を市場へ提示しつつある
  • 専用AI端末というカテゴリの成立はまだ証明されておらず、日本企業には完成品よりも感覚・映像・身体入力という基盤技術での勝ち筋が残されている

デバイス・次世代インターフェース部門|「入口」を見る視点

次世代デバイスと人・AIの接点を整理する説明図解

この部門で扱うのは、次のようなありとあらゆるデバイスです。

  • スマートフォン
  • PC
  • AI PC
  • スマートグラス
  • XR
  • ウェアラブル端末
  • AIイヤホン
  • 音声UI
  • AI専用端末
  • オンデバイスAI
  • 常時稼働AIエージェント端末

ここで重要なのは、ハードウェアそのものの性能ではありません。見るべきなのは、人間とAIの接点を、誰が最も自然に、日常的に、長時間握れるかという点です。

評価軸として、普及力、装着・携帯性、ユーザー接点、AI統合力、OS・エコシステム、オンデバイスAI、常時利用性、入力方法、出力方法、プライバシー、バッテリー、価格、既存デバイスとの連携、ユーザー習慣を変えられるかを見ていきます。第5回で扱ったプラットフォーム論(検索・SNS・EC・OS・業務環境という無形の入口)とは異なり、本記事は「物理的に手元にあるモノ」としての入口に絞って考察します。

正式ノミネート5社|スマホの次に備える本命

次世代デバイスと人・AIの接点を整理する説明図解

本部門の正式ノミネートは、Apple、Meta、Google、Samsung、Qualcommの5社です。ここでは各社が「スマホの次」に対してどう備えているかを見ていきます。

Apple AIモデルの弱さを補うデバイス需要

Appleが見せているのは、AIモデル開発競争での存在感の弱さとは裏腹の、デバイス側での圧倒的な需要です。象徴的なのが、Mac miniとMac Studioの供給不足です。CEOのジョン・ターナス(John Ternus)体制へ移行する前の2026年4月30日、当時CEOだったティム・クック(Tim Cook)は決算説明(2026会計年度第2四半期)で、「Mac miniとMac Studioが、AIとエージェント型ツールに適したプラットフォームであるという顧客の認識が、当社の予測より速いペースで広がっている」と述べ、需給が均衡するまでに数カ月かかる見通しを示しました。Apple自身が、これらの機種への需要を過小に見積もっていたことになります。

Appleは2026年8月、AI性能を従来の4倍に高めた新型のM6 Mac miniを投入しました。開発者コミュニティのあいだでは、メールの監視や業務自動化を続ける自律型AIエージェントを常時稼働させる「常時稼働AIエージェントサーバー」として、Mac miniを自宅やオフィスに設置する動きが広がっています。待機時の消費電力が数ワット程度と低いことも、この用途に向いている理由です。

Appleについては、「最強のAIモデルを作らなくても、人間がAIへ触れる端末そのものを握っていれば勝てるのか」という問いが成立します。少なくとも2026年時点の品薄状況は、この問いに対する有力な傍証を提供しています。

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Meta 「スマホの次」をすでに市場へ出している企業

Metaは、「スマホの次」を最も具体的に製品化している企業の1つです。2025年9月に発表したMeta Ray-Ban Displayは、ディスプレイ内蔵型のAIグラスと、腕の筋電位(EMG)を読み取るリストバンド「Meta Neural Band」をセットにした製品で、価格は799ドルです。指のわずかな動きだけでグラス側を操作できる、これまでにない入力方式を採用しています。

このMeta Ray-Ban Displayは、2026年に入ってカナダ・フランス・イタリア・英国への展開を計画していましたが、Metaは「前例のない需要と供給の制約」を理由に、この国際展開を一時見合わせました。待機リストは2026年に入っても解消されておらず、AIグラスが「未来の試作品」ではなく、供給が追いつかないほど売れる製品になっている実例です。

Metaについては、「スマホをポケットから取り出さずに済む世界を、Metaが本当に作るのか」という問いが成立します。少なくとも需要面では、その世界に最も近づいている企業の1つです。

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Google OSで広げるAndroid方式の次世代デバイス戦略

Googleは、ハード単体ではなくOS・AI・エコシステムで勝負する企業です。GoogleとSamsungは、AndroidをベースにしたXR向けOS「Android XR」を共同開発し、その第1弾となるヘッドセット「Galaxy XR」を2025年10月に投入しました。Snapdragon XR2+ Gen 2を搭載し、価格は1799ドルです。Google・Samsung・Qualcommの3社は、このAndroid XRの対象を、ヘッドセットからスマートグラスへも広げており、Gemini搭載のAndroid XRスマートグラスは2026年秋の投入が予告されています。

Androidスマホで成功した「自社だけで全部作るのではなく、OSを広げる」というモデルを、次世代AIデバイスでも再現できるかが焦点です。次のインターフェースでも「Android方式」が勝つのか。ヘッドセットから始まり、スマートグラスへ広がるAndroid XRの展開は、この問いへの回答を探る材料になります。

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Samsung 現在のGalaxyユーザーを新しいAI体験へ移行させる企業

Samsungは、Galaxy、フォルダブル、Watch、XR、半導体、ディスプレイを併せ持つ、非常に総合力の高い企業です。Galaxy XRの投入に続き、Android XR対応のスマートグラスを2機種、2026年中に投入する計画も報じられています。12メガピクセルのオートフォーカスカメラ、ジェスチャー操作、終日使用を想定した小型バッテリーなど、実用重視の仕様が伝えられています。

Samsungについては、「次のデバイスをゼロから作る」のではなく、「現在のGalaxyユーザーを新しいAI体験へ自然に移行させる企業」として評価するのが妥当です。モバイル事業を統括するDX部門長のTM Rohのもと、GoogleやQualcommとの協業を軸にした展開が続いています。

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Qualcomm 最終製品を売らずに基盤を握る企業

Qualcommは完成品メーカーではありません。しかしスマートフォン、AI PC、XR、スマートグラスの「中身」を握る企業として非常に重要です。ヘッドセット向けのSnapdragon XR2+ Gen 2に加え、終日装着できる軽量なARグラス専用に設計されたSnapdragon AR1という、まったく別系統のチップも展開しています。この2系統のチップにより、重量級のヘッドセットから軽量なグラスまで、次世代インターフェースの両極をカバーしています。

次世代インターフェースの覇権企業は、最終製品を売る企業ではなく、多くの製品に共通して入る基盤を握る企業である可能性があります。CEOのクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)のもと、Samsung・Googleという2つの巨大企業のデバイス戦略に、Qualcommのチップが共通して組み込まれている構図は、この仮説を裏づけています。

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スマホの次の入口|新端末と既存端末の進化

次世代デバイスと人・AIの接点を整理する説明図解

ここまで見た5社の動きを整理すると、「スマホの次」に対する答えは1つに定まっていません。むしろ4つの型が同時並行で進んでいます。

  • スマホ進化型:iPhoneやGalaxyのような既存スマートフォンへ、AIを深く統合していく道
  • AI PC型:Mac miniのように、AIエージェントを常時動かすローカル端末として、PCという既存カテゴリを作り替える道
  • スマートグラス型:Meta、Google、Samsungが進めるように、AIがユーザーの視界・音声・周囲の環境へ直接入り込む道
  • AI専用端末型:スマートフォンとは異なる、AIネイティブの新しい専用端末を一から作る道。OpenAIやRabbitがこの型に挑戦している

これら4つの型を見比べると、次の主役が新しい端末なのか、それともスマホ・PCがAI化するだけなのかは、まだ決着していません。

ただし2026年時点で最も具体的な実績を積み上げているのは、1つ目と2つ目、つまり既存端末の進化型です。Mac miniの品薄も、Meta Ray-Ban Displayの供給不足も、AIモデルの性能そのものではなく、AIに触れる物理的な入口への需要が供給を上回っていることを示しています。

しかもそれは、それはまったく新しいカテゴリで起きているわけではなく、既存のPCや眼鏡という枠組みのなかにAIを組み込んだ製品で起きているのです。

DXportal®編集部

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