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GAFAMからMATANA、そしてMANGOへ。世界を動かす巨大企業の呼び名は、数年おきに塗り替えられてきました。新しい呼び名が生まれるたびに浮かぶのは、いま名前の挙がる企業のあとに、次に世界の覇権を握るのはどこなのかという疑問です。
DXportal®でも、GAFAM、MATANA、MANGOという呼び名で、その時々のビッグテック勢力図を繰り返し取り上げてきました。なかでも次の2本は、公開から時間が経った現在も読まれ続けています。
そこにAI時代が訪れ、その「次」を見通すことは、さらに難しくなりました。それでも編集部では、この答えの出ない問いにあえて向き合い、「GAFAMの次はどこが来るのか」を、知的エンターテインメントとして考えてみることにしました。
本シリーズ「GAFAMの次はどこだ?」は、部門ごとにノミネートを発表し、最後に授賞式で次世代覇権企業を決める、DXportal®版の賞レースです。第1回となる本記事では、企画を立てた理由と、覇権企業が時代ごとに何を握ってきたのかを確認します。読者の皆さんも、「自分ならどこを選ぶか」を思い浮かべながら、楽しんでいただければ幸いです。
【本記事の要点】
- 世界の覇権企業は、資源・製造業からPC・OS、インターネット、クラウド・計算資源へと、時代ごとに価値の源泉を変えながら入れ替わってきた
- GAFAMからMATANA、MATANAからMANGOへの呼び名の変化は、覇権の中身がプラットフォームから物理インフラ、そして知能そのものへ移ってきたことを映す
- AI時代の覇権競争は、AI企業だけの競争ではなく、半導体・クラウド・データセンター・電力を含む産業構造全体の競争になっている
- 次の覇権を占う前に、次の覇権を生む分野そのものを見る必要があり、DXportal®編集部は7つの部門を候補として注目している
企画意図:AI時代にGAFAMの次を予想する理由
GAFAMの次はどこか。この問いを、なぜ今、シリーズとして取り上げるのでしょうか。本章では、企画に込めた考えと、賞の形式で進める理由をお伝えします。
AI時代に難しくなったビッグテックの未来予測
AI時代に入り、ビッグテックの勢力図が書き換わる速度は、明らかに上がりました。AI企業の世界では、有力なモデルがひとつ登場するたびに、図式が切り替わっていきます。その速さは、AIやテクノロジーに詳しい人でなくても、日々のニュースから感じ取っているのではないでしょうか。
しかし、DXという文脈のなかで、ビッグテックの未来がどうなっていくのかは、本当の意味では誰にも分からないでしょう。AIモデルの進化だけでなく、半導体、クラウド、電力、そして企業や社会のDXの進み方までが絡み合うためです。
だからこそDXportal®は、この答えの出ない問いにあえて着目することにしました。
知的エンターテインメントとしてのノミネートと授賞式
本シリーズは、「GAFAMの次はどこが来るのか」を、ひとつの知的エンターテインメントとして考える企画です。イメージしているのは、グラミー賞やエミー賞のような賞の仕組みです。部門ごとにノミネートを発表し、最後は授賞式で受賞者を決める。この流れにならって、DXportal®としての「次世代覇権企業」を選び出していきます。
第1回である本記事は、その授賞式の前に、賞の意義と考え方をお伝えする回です。次の顔ぶれを言い当てる回ではなく、この賞で何を見ようとしているのかを共有する回だと考えてください。
正解のない問いだからこそ、読者の皆さんにも「自分ならどこを選ぶか」を思い浮かべながら、この知的エンターテインメントを楽しんでいただければ幸いです。
次世代のビッグテックを見にいく前に、次章からは、その土台となる過去・現在・未来を整理します。覇権企業は何を握ってきたのか、いま何が起きているのか、そして次の覇権はどの分野から生まれるのか。まずはビックテック以前の過去編から振り返っていきましょう。
過去編:世界の覇権を握る企業は、何を握ってきたのか
世界の覇権企業の顔ぶれは、この数十年で大きく入れ替わってきました。しかし本当に変わったのは企業名だけではありません。その時代ごとに、企業が握るべき「価値の源泉」そのものが変化してきました。まずは資源・製造業の時代から、インターネット、そして「MATANA」と呼ばれる現在の前段階までをたどります。
資源と製造業が力を握っていた時代
20世紀後半の世界経済は、石油、自動車、重工業、電機といった産業が中心でした。ここで強さを決めたのは、資源、工場、生産設備、生産能力、巨大資本、物流網など、目に見える物理的な資産です。
1990年のFortune Global 500では、General Motorsが売上高で世界首位に立っていました。そこでは、上位にFord、Exxon、Royal Dutch/Shellといった資源・自動車企業が並び、IBMのような大型コンピューター企業もその一角を占めています。世界の覇権とは、巨大な物理資産と生産能力を握ることだった時代です。
出典・参照:
PC・OS・ソフトウェアの時代:Microsoftの台頭
やがて、工場や資源を持たなくても世界的な影響力を持てる企業が現れます。その象徴がMicrosoftです。WindowsやOfficeを通じてPC利用の入口そのものを握り、モノではなくOSやソフトウェアという物質的な形を持たない、新時代の「標準」を握る企業が、新しい覇権企業になりました。
ここで押さえておきたいのは、MicrosoftはGAFAMという括りが生まれてから突然登場した企業ではないという点です。PC時代からすでに、デジタル世界の標準を握る企業として存在していたのです。
インターネット時代:GAFAとGAFAMの一文字の違い
続いて主役になったのは、検索、EC、SNS、スマートフォンを通じて、ユーザーとの接点とデータを握る企業でした。ここでよく使われる呼び方が「GAFA」と「GAFAM」です。両者の違いはMicrosoftを含めるかどうかだけですが、この一文字の差は単なる呼称の揺れにとどまりません。
「GAFA」はGoogle、Amazon、Facebook(現Meta)、Appleの4社を指す呼び方です。スコット・ギャロウェイ氏の著書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(渡会圭子訳、東洋経済新報社、2018年8月刊)を通じて、この呼称は日本でも広く定着しました。この4社にMicrosoftを加えた「GAFAM」という呼び方も、その後広く使われるようになっています。
重要なのは、Microsoftを含まない「GAFA」という呼び方が先に広まった時期があるという事実です。前節で見たとおり、MicrosoftはPC・OS時代の象徴的な覇権企業でした。ところが検索やSNS、スマートフォンといった新しい成長領域に関心が集まった時期には、Microsoftを含まない4社の括りが先に定着しています。
これは、PC・OS中心の時代からインターネット・プラットフォーム中心の時代へ、覇権の重心が移ったことの表れと読むことができます。
その後、Azureによるクラウド事業やAI、OpenAIとの提携を通じて、Microsoftは再びテクノロジー覇権の中心に戻ってきました。一度は次世代ビッグテックの象徴から外れたように見えた企業が、次の技術潮流に適応して返り咲いた例です。
DXportal®ではこれまでも、GAFAMとインターネット時代の変化について取り上げてきました。
出典・参照:
GAFAMからMATANAへ:物理インフラと計算資源の復権
2022年、シリコンバレーの調査会社コンステレーション・リサーチの創業者レイ・ワン氏(R “Ray” Wang)が、自身のブログ記事「News Analysis: Goodbye FAANG, Hello MATANA」で新しい括り「MATANA」を提唱しました。MATANAとは、Microsoft、Apple、Tesla、Alphabet(Google)、NVIDIA、Amazonの6社を指す呼び方です。
ここで注目したいのは、企業名の入れ替わりそのものより、何を握る企業が新たに強くなったのかという点です。TeslaとNVIDIAが加わったことで、EV、半導体、計算資源、物理インフラといった要素の存在感が増しました。
GAFAMが体現していたプラットフォーム優位だけでは、もはや次の覇権構造を説明しきれなくなったということです。デジタル世界だけでなく、現実世界のインフラと計算基盤が、再び大きな意味を持つようになりました。本シリーズでは、このMATANAまでを「過去」として扱います。
出典・参照:
現在編:MANGOとAI時代、覇権構造は混沌としている
GAFAMからMATANAへの変化は、物理インフラと計算資源の復権を示すものでした。その先に登場したのが「MANGO」という呼び方です。ただし、この呼び名はこれまでの2つとは違う特徴を持っています。本章では、MANGOが象徴する現在地と、AI時代の覇権競争がどのような産業構造のうえに成り立っているかを見ていきます。
MANGOが象徴する現在地
DXportal®では、GAFAM、MATANA、MANGOという呼び名の変遷そのものを取り上げた記事を公開しています。
同記事では、MANGOをMeta、Apple、NVIDIA、Google、OpenAIの5社と定義しています。一方、海外メディアでの初出に近い呼び方は少し異なります。Fast CompanyやAxiosが報じた版では、MANGOはMeta、Anthropic、NVIDIA、Google、OpenAIの5社を指すものとして広まりました。さらにSpaceXを加えた「MANGOS」という呼び方をする媒体も確認できます。
媒体や提唱者によってAppleが入るかAnthropicが入るかがわかれる、ということ自体が重要な手がかりです。GAFAMのように構成企業がほぼ固定されていた括りとは違い、MANGOは提唱者ごとに構成が揺れているのです。
「MANGOとは一般にこの5社である」と1つに断定できないこの状態こそ、現在の覇権争いがまだ決着していない証拠と見ることができるのではないでしょうか。
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AI時代は「AI企業だけ」の時代ではない
生成AIの台頭により、近年ではOpenAI、Anthropic、Google、Meta、xAIといった、生成AIを手掛ける企業の名前が注目を集めています。しかしAIモデルは、それ単独で動いているわけではありません。土台になるのは、半導体、GPU、メモリ、クラウド、データセンター、ネットワーク、そして電力です。
この土台の規模を示す動きが、OpenAIが2025年1月に発表したStargate Projectです。このプロジェクトは米国内にAI向けデータセンターを整備する計画で、今後複数年をかけて大規模な投資をおこなうとされています。
また、Microsoftも2023年1月に発表した複数年にわたる大型投資を含むOpenAIとの提携拡大を経て、クラウド基盤の提供者としてAI時代の産業構造に深く組み込まれています。
つまり、今の覇権競争はAIモデルの性能だけを競う争いではありません。AIを成立させる半導体からデータセンターまでの産業構造全体を、誰が押さえるかという争いになりつつあると考えることができるでしょう。
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電力が再び「覇権資源」として戻ってきた
ここまでの流れを振り返ると、覇権の資源は石油や電力といったエネルギーから、OS、インターネット、プラットフォームへと移ってきた傾向が読み取れます。ところがAI時代に入り、巨大なAIモデルとデータセンターを動かすための電力そのものが、再び戦略資源として重要になりました。
国際エネルギー機関(IEA)が2026年4月16日に発表した報告書によると、2025年のデータセンターの電力需要は前年比17%増加しています。世界全体の電力需要の伸び率3%と比べると、5倍を超える伸びです。
さらに2030年に向けて、データセンター全体の電力消費が約2倍、AI向けに限れば約3倍に増える見通しが示されています。大手テック5社の2025年のAI関連支出は、4000億ドルを超えました。
改めてこの動きを見渡すと、かつて世界の主役だったエネルギーが、AIという最先端技術によって主役候補に戻ってきたと考えることはできないでしょうか。歴史は同じ形では繰り返しませんが、似た構図で回っているように見えます。
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未来編:次の覇権は、どの分野から生まれるのか

ここまで、資源・製造業からPC・OS、インターネット、そしてAIと電力へと、覇権企業が握るものが移り変わってきた流れを確認しました。次世代の派遣企業を占う本シリーズの第1回となる本記事では、個別企業の最終的な勝敗予想や正式なノミネートはおこないません。次のGAFAM候補を挙げる前に、まず次の覇権を生む分野そのものを見ておく必要があるためです。
DXportal®編集部が注目する7部門
DXportal®編集部が現時点で注目しているのは、次の7部門です。
- AI・基盤モデル:生成AI、基盤モデル、AIエージェントなど
- 半導体・計算資源:GPU、AIアクセラレータ、半導体製造、製造装置、メモリなど
- クラウド・データセンター:クラウド、AIスーパーコンピューティング、データセンターなど
- プラットフォーム・データ:検索、SNS、EC、業務プラットフォームなど
- デバイス・次世代インターフェース:スマートフォン、XR、ウェアラブル、AIデバイスなど
- フィジカルAI:ロボティクス技術、ヒューマノイド、産業ロボット、自動運転など
- エネルギー・電力インフラ:電力、原子力、再生可能エネルギー、送配電など
第2回以降は、この7部門を1つずつ取り上げ、それぞれの分野で存在感を強めている企業を考察していきます。
そもそもGAFAM型の覇権構造は成立するのか
最後に、本シリーズを通じて考えたい大きな問いを提示します。それは、「そもそも次の時代にも、GAFAMのような少数の巨大企業による覇権構造は成立するのか」といった問題です。
AI、半導体、クラウド、データセンター、電力、ロボティクスは、それぞれ独立した産業ではなく、互いに依存し合っています。AIモデルを動かすには半導体が欠かせず、半導体を動かすにはデータセンターが欠かせず、データセンターを動かすには電力が欠かせません。この相互依存の構造は、GAFAM5社の名前を並べれば世界を説明できた時代とは異なる可能性を示しています。
次のGAFAMは、特定の5社の企業名としては現れず、複数の産業にまたがる覇権ネットワークとして現れるかもしれません。シリーズ名は「GAFAMの次はどこだ?」ですが、最終的には「GAFAM型の括りそのものが限界を迎えている」という結論に行き着く可能性もあるのです。この逆説こそ、次の覇権を考えるうえでの一番の楽しみどころではないでしょうか。
まとめ:覇権の条件は、時代ごとに書き換えられてきた
覇権企業の顔ぶれが変わってきたのは、運や偶然の結果ではありません。
- 資源と製造能力
- OSとソフトウェア
- インターネットのプラットフォーム
- 計算資源と電力
時代ごとに価値の源泉そのものが移動し、それを握った企業が覇権を握るという流れが繰り返されてきました。GAFAMからMATANA、MATANAからMANGOへの呼び名の変化も、この価値の源泉の移動を映す鏡です。そして現在のAI時代は、AI企業だけでなく半導体・クラウド・データセンター・電力までを巻き込んだ、これまでよりも複雑な構造のうえに成り立っています。
次の覇権がどこから生まれるのかを占うには、まずどの分野が次の価値の源泉になるのかを見極なければならないでしょう。次回、シリーズ第2回では、この7部門の1つ目であるAI・基盤モデル部門を取り上げ、この分野で存在感を強めている企業を具体的に考察します。
執筆者
DXportal®運営チーム
DXportal®編集部
DXportal®の企画・運営を担当。デジタルトランスフォーメーション(DX)について企業経営者・DX推進担当の方々が読みたくなるような記事を日々更新中です。掲載希望の方は遠慮なくお問い合わせください。掲載希望・その他お問い合わせも随時受付中。


