Zoom以外の選択肢:目的に合わせたツール選び

Zoomは多機能で優れたツールですが、すべてのニーズを満たすわけではありません。会議の規模、目的、必要な機能に応じて、最適なツールを選ぶことが重要です。
ここでは、Zoom以外の代表的なツールを体系的に紹介し、それぞれの特徴を詳しく解説します。
ビジネス向けコラボレーションツール
チームのコミュニケーションとコラボレーションを円滑にするビジネス向けツールは、効率的な業務遂行に不可欠です。
ここでは、代表的な3つのツールを例に取り、それぞれの特徴と強み、弱みを比較し、あなたのビジネスに最適な選択肢を見つける手助けをします。
Microsoft Teams
チャット、ビデオ会議、ファイル共有、共同編集など、ビジネスに必要な機能が統合されています。Office 365との連携が強力で、大規模な組織での利用に適しています。
- 強み:Office製品との連携、高いセキュリティ、大規模利用
- 弱み:多機能ゆえに操作が複雑になる場合がある
Slack

チャットを中心としたコミュニケーションツールで、チーム内の情報共有やコラボレーションを促進します。外部ツールとの連携が豊富で、柔軟なカスタマイズが可能です。
- 強み:優れたチャット機能、豊富な外部連携、高いカスタマイズ性
- 弱み:ビデオ会議機能はTeamsに比べると限定的
Google Workspace(Google Meet含む)
ビデオ会議の「Google Meet」を中心に、チャットやドキュメント共有など、ビジネスに必要な機能を提供します。Google Workspace全体との連携が強力で、Google愛用者にとっては日常的に利用しているサービスやツールとの親和性が高い点が魅力です。
- 強み:Googleサービスとの連携、シンプルな操作性、高いコストパフォーマンス
- 弱み:外部ツールとの連携はMicrosoft TeamsやSlackに比べると限定的
ウェビナー・大規模イベント向けツール
大規模なオンラインイベントやセミナーを成功に導くためには、参加者数や目的に合わせた最適なツール選択が不可欠です。
ここでは、ウェビナーや大規模イベントに特化した代表的なツールを比較し、それぞれの特徴と強みを解説します。
YouTube Live
YouTube上でライブ配信ができるサービスで、大規模なイベントやセミナーに適しています。配信映像のアーカイブ化や視聴者とのチャット機能も利用できます。
- 強み:高い安定性、大規模配信、アーカイブ機能
- 弱み:インタラクティブ機能は限定的
Vimeo Livestream

高画質・高音質のライブ配信が可能で、プロフェッショナルなイベントやセミナーに適しています。有料プランでは、高度な配信機能や分析機能を利用できます。
- 強み:高画質・高音質、プロフェッショナル向け機能、高いカスタマイズ性
- 弱み:有料プランが中心
Microsoft Teams Live Events
MicrosoftTeams内での大規模イベント用の機能で、最大10,000人が参加可能なイベントを配信できます。Q&A機能やアンケート機能が搭載されています。
- 強み:Microsoft製品との連携、Q&A機能、大規模配信
- 弱み:イベント主催者側の設定の知識が多少必要
>>Microsoft Teams のライブ イベントについて
その他
オフィス以外でのコミュニケーションや、よりカジュアルな交流を求めるなら、バーチャルオフィスツールや音声コミュニケーションツールが新たな可能性を開きます。
それぞれの特徴と利用シーンを紹介します。
バーチャルオフィスツール
仮想オフィス空間でアバターを使ってコミュニケーションができるツールです。オフィスに近い感覚で、カジュアルなコミュニケーションやチームの一体感を高めることができます。
- 代表的なツール:ovice、Remo、SpatialChatなど
- 強み:臨場感のあるコミュニケーション、一体感向上、カジュアルなコミュニケーション
- 弱み:一般的なコミュニケーションツールにくらべると音声や画像の質は落ちる
音声コミュニケーションツール
音声のみでコミュニケーションを取るツール。リアルタイムでの会話、音声データの録音、保存などが出来ます。
- 代表的なツール:Discord、standfm、Voicyなど
- 強み:タイムラグなしでのリアルタイムの会話、バックグラウンドでの作業ができる
- 弱み:映像での情報がないため、表情や資料などの共有ができない
ツール選びのポイント

オンラインコミュニケーションツールの導入は、業務効率化やコミュニケーション活性化に大きく貢献しますが、ツールの選択を誤ると、期待した効果が得られないだけでなく、思わぬコストや手間が発生する可能性があります。
ここでは、自社のニーズに合った最適なツールを選ぶための5つの重要なポイントを、より詳しく解説します。
会議の規模と参加者数:安定性を確保する
オンライン会議やウェビナーの参加可能人数は、数名から数千名まで多岐にわたります。参加者数に応じて、安定した通信環境と配信機能を提供できるツールを選びましょう。
大規模な会議やイベントでは、配信の安定性はもちろんのこと、参加者の管理機能や質疑応答機能も重要になります。
無料プランと有料プランで参加可能人数や機能が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
会議の目的と必要な機能:目的に合わせてカスタマイズする
オンライン会議の目的によっても適切なツールは異なります。会議の目的に合わせて、必要な機能が備わっているツールを選びましょう。
画面共有、録画、チャット、投票、ブレイクアウトルームなど、会議の目的に合わせた機能が充実しているか確認し、トライアルなどを活用して実際に試してみることをおすすめします。
セキュリティとプライバシー:安全性を最優先に
セキュリティが重要であることは議論の余地がない事実ですが、機密性の高い情報を扱う会議やイベントでは、特に慎重にセキュリティ対策が万全なツールを選びましょう。
エンドツーエンドの暗号化、二段階認証、アクセス制御など、セキュリティ機能が充実しているか確認が必要です。また、プライバシーポリシーを確認し、個人情報の取り扱いについても十分に理解しておきましょう。
予算とコストパフォーマンス:長期的な視点で考える
オンラインコミュニケーションツールの導入には、利用料金だけでなく、導入時の設定や研修、運用管理などのコストも考慮する必要があります。予算内で必要な機能が利用できる、コストパフォーマンスの高いツールを選びましょう。
無料プランと有料プランの機能差、追加機能の料金体系、長期的な利用を見据えたコストなどを比較検討し、自社の予算に合った最適なプランを選びましょう。
使いやすさと導入の容易さ:全員がストレスなく使えるツールを
オンラインコミュニケーションツールは、参加者全員がストレスなく利用できることが重要です。ツールのインターフェースは直感的で分かりやすいか、導入時の設定や操作は簡単かなどを確認しましょう。
無料トライアルなどを活用して、実際にツールを試してみることをおすすめします。また、ベンダーのサポート体制も確認しておくと、導入後のトラブルにもスムーズに対応できます。
まとめ:変化に対応し最適なコミュニケーションを【Zoom問題だけじゃない:DX時代のツール選び】
DX推進において、組織内外のコミュニケーションは生命線です。情報共有やコラボレーションを促進し、顧客体験を向上させるために、適切なコミュニケーションツールを選択し、戦略を常に更新することが不可欠です。
Zoomは、DX推進を強力に後押ししたツールですが、セキュリティ問題を含め、常に変化するニーズと技術進化に適応する必要があります。様々なツールを比較検討し、それぞれの特性を理解することで、より効果的なコミュニケーションを実現できるでしょう。
重要なのは、ツールを「手段」として捉え、自社の目的や状況に合わせて柔軟に選択・活用することにあります。最新の情報を常にキャッチアップし、変化を恐れずに挑戦することで、DXを成功に導くことができるのです。
執筆者
株式会社MU 代表取締役社長
山田 元樹
社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援をエンジニア + 経営視点で行う。
最近の趣味は音楽観賞と、ビジネスモデルの研究。
2021年1月より経営診断軍師システムをローンチ


