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2026年10月30日、英国の4つの規制当局が、個人向けAIエージェントを巡る共同声明を公表しました。個人向けAIエージェントとは、企業が契約して使うものではなく、個人が自分のために使うAIエージェント全般を指しています。
声明では、購入や企業とのやり取りなど、AIが利用者に代わって行動する例を挙げています。また、同じ日に英国の競争・市場庁が、企業向けのガイダンスの掲載ページで、この声明を案内しました。このガイダンスは2026年3月に出されたもので、企業が顧客対応にAIエージェントを使う場合の説明となっています。
顧客対応や返金の処理は、競争・市場庁がAIエージェントの利用例として挙げている業務で、AIに任せた場合の責任の所在は、導入を考える企業が知っておきたい点でしょう。本記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の観点から、この共同声明と企業向けガイダンスの内容を解説します。
【本記事の要点】
- 英国の4規制当局は、2026年10月30日に個人向けAIエージェントを巡る共同声明を公表した
- 声明は、各当局の既存の取り組み、今後の連携、既存の法・規制の枠組みがAIエージェントにも適用されることを整理している
- 競争・市場庁のガイダンスは、英国で顧客対応にAIエージェントを使う企業は、AIの行為にも消費者法上の責任を負うと説明している
- 英国の整理は、AIを使う業務と、監視・停止などの統制を一緒に設計する視点の手がかりになる
声明の中身:既存の法と規制がAIエージェントにも適用される
英国には、デジタル分野の規制を担う当局が連携するための場として、デジタル規制協力フォーラムがあります。2026年10月30日、その構成員である競争・市場庁、金融行為監督機構、情報委員会事務局、通信庁の4当局が、共同声明『Joint statement on protecting people and businesses in an agentic economy』(仮訳:AIエージェントが働く経済で、人と企業を守るための共同声明)を公表しました。
声明は、次の3点を整理しています。
- 4当局がそれぞれ、すでに進めている取り組み
- 当局どうし、そして政府との今後の連携
- 既存の法と規制の枠組みが、AIエージェントにも適用されること
企業の責任:英国で顧客対応・返金処理にAIを使う企業への競争・市場庁のガイダンス
声明と同じ2026年10月30日、競争・市場庁は、企業向けのガイダンス『Using AI agents: complying with consumer law』(仮訳:AIエージェントを使う場合に、消費者法を守るために)の掲載ページで、この声明を案内しました。このガイダンスは2026年3月9日に出されたもので、企業が顧客対応などにAIエージェントを使うときの、消費者法の守り方を説明しているものです。
競争・市場庁が声明を案内したこのガイダンスは、声明とは立場が逆の文書です。声明が扱うのは、個人が自分のために使うAIエージェントです。これに対してガイダンスが扱うのは、企業が顧客への対応にAIエージェントを使う場面で、使う側が企業、向き合う相手が顧客になります。
顧客対応や返金の処理は、ガイダンスが利用例として挙げる業務に含まれます。英国の消費者法では、AIエージェントの行為について、従業員の場合と同じように、使った企業が責任を負うという説明が示されました。あわせて、消費者法を守るための訓練、導入前のテスト、継続的な監視、人による確認が重要だとも述べています。
たとえば、返金の資格がある顧客に、AIが返金できないと案内した場面を考えてみましょう。消費者法に反するこの案内は、「AIがしたことだから」という理由で、使った企業の責任から外れることはありません。AIに任せられるのは作業であり、消費者法上の責任までは任せられないのです。
自社の工程に引き寄せる:AIに任せる前に確かめる3つの問い
英国のガイダンスから学べるのは、AIに任せる業務は、任せる前に設計しておく必要があるということです。AIの行為の責任が企業に残る以上、AIに何をどこまで任せるか、責任者は誰か、問題が起きたとき誰がどう止めるかを、先に決めておかなければなりません。
ガイダンスが求める訓練、テスト、監視、人による確認を自社の業務に当てはめると、確かめたいのは次の3つです。
- AIが顧客に対して行うこと(案内、返金の判断など)は、どの工程までか
- その工程の最終的な責任者は、誰か
- AIが誤った行動をしたとき、誰が気づき、どう止めるか
顧客情報をどこまで読ませるか、返金をいくらまで承認させるか、顧客へ自動で送信させるかは、DXの設計そのものです。AIに任せる業務の範囲と、監視・停止の仕組みを一緒に決めておくと、AIを使い始めたあとに誤った行動が起きたとき、担当者が誰に伝え、どう止めればよいかで迷わずに済みます。
まとめ:AIを使う業務と、監視・停止の統制を一緒に設計する
英国の4規制当局は2026年10月30日、既存の法と規制が個人向けAIエージェントにも適用されることを、共同声明で整理しました。さらに、競争・市場庁が同日に声明を案内した企業向けガイダンスは、英国で顧客対応にAIエージェントを使う企業が、AIの行為にも消費者法上の責任を負うと説明しています。
AIに任せる工程が増えても、顧客に対する責任はAIを使う企業側に残ります。英国のガイダンスは、その責任を果たすために、訓練、導入前のテスト、継続的な監視、人による確認が重要だと伝えているのです。
顧客対応や返金の一部をAIに任せるときは、任せる範囲を決めるのと同時に、最終的な責任者と、誤った行動が起きたときに誰が気づいてどう止めるのかも決めておくことが大切です。そこまで決めてはじめて、顧客に対する責任を果たせる形で、AIを使う業務を設計できるのです。
執筆者
DXportal®運営チーム
DXportal®編集部
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