【パスキー】パスワード不要の未来へ!中小企業が知るべきDX時代の認証戦略

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デジタル技術の進展に伴い、サイバー攻撃の手口は巧妙さを増しています。貴社の従業員が「123456」や誕生日といった推測容易なパスワードを使い回し、あるいはフィッシング詐欺の巧妙な誘導に欺かれ、機密情報を流出させてしまうリスクに心当たりはありませんか。

従来のパスワード認証は、管理の煩雑さと脆弱性の双方において、現代のビジネス環境では限界を迎えています。Googleをはじめとする主要プラットフォームが推奨を開始した「パスキー」は、こうした課題を根本から解決する次世代の認証規格に他なりません。

本記事では、認証の仕組み自体を根本から変革するパスキーの概要から、導入がもたらす革新的なメリットまでを体系的に解説します。

【本記事の要点】

  • パスキーは公開鍵暗号方式と生体認証を組み合わせた、パスワードに依存しない新しい認証規格
  • フィッシング詐欺を物理的に無効化し、リスト型攻撃のリスクを排除する強固な防御構造を構築できる
  • 認証プロセスの簡略化により従業員の生産性が向上し、パスワード管理に起因するサポートコストを削減可能

パスキーとは?次世代の認証技術がもたらす変革

パスキーとは?次世代の認証技術がもたらす変革

「パスキー(Passkeys)」は、パスワードに代わる新しい認証の仕組みです。米国の非営利団体「FIDO(Fast IDentity Online )アライアンス」とWeb標準化団体の「W3C(World Wide Web Consortium)」が共同で規格化を進めており、パスワードが不要な認証技術として世界的に注目を集めています。

パスキー認証の根幹にあるのは、公開鍵暗号方式と生体認証(顔認証や指紋認証など)、あるいはデバイスのPIN(個人識別番号)を組み合わせた本人確認の仕組みです。

従来のパスワードが「知識」(パスワード文字列を知っているか)による認証であったのに対し、パスキーは、FIDO技術に基づき、ユーザーが所有する「デバイス」(スマートフォンやPCなど)と、それに紐づく「生体認証」(指紋や顔認証など)やデバイス固有のロック解除方法(PINなど)を組み合わせた認証方式です。

これにより、知識に依存するパスワード認証と比較して、セキュリティ面で飛躍的な優位性があります。

パスワード認証の限界とパスキーの必要性

パスワード認証の限界とパスキーの必要性

従来のパスワード認証は、増大かつ巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対し、すでに限界を迎えていると言えるでしょう。中小企業も例外ではなく、むしろその脆弱性から攻撃の標的となりやすい傾向にあります。パスワードに起因するセキュリティリスクは深刻化の一途を辿っており、従来の認証方式では、もはや企業のデジタル資産や顧客情報を守りきることは困難なのです。

こうした現状を踏まえると、パスワードに依存した認証から、より強固な認証技術であるパスキーへ移行することは、企業にとって急務と言えるでしょう。パスキーは、これらのセキュリティリスクを根本から解決し、中小企業のデジタル変革を安全に推進するための文字通りの「鍵」となり得るのです。

パスワード使い回しとアカウントリスト攻撃の脅威

WEBサービス利用者の83.8%は、複数のサービスでパスワードを使い回しているという現状があります(出典:トレンドマイクロ株式会社「パスワードの利用実態調査 2023」)。主な理由としては、「異なるパスワードを設定すると忘れてしまう」ということが挙げられています。

しかしこれでは、どこか一つのサービスからの情報漏洩が、パスワードを使い回している他のサービスへの不正ログインである「アカウントリスト攻撃」に繋がるリスクを大幅に高めてしまいます。企業においては、従業員のパスワード管理意識が低いことが、機密情報漏洩に直結しかねません。

フィッシング詐欺の横行と巧妙化

警察庁が2025年3月13日に公開した報告書『令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』によると、2024年のフィッシング詐欺報告件数は、前年の約120万件から約170万件へと急増しており、増加の一途を辿っています。実在する組織や企業を騙り、巧妙な手口で偽サイトへ誘導し、クレジットカード情報やアカウント情報を盗み取る詐欺が後を絶たないのが現状です。

また、Gmailのような広く利用されているサービスへのAIを駆使したサイバー攻撃も巧妙化しており、米国では成人の73%が何らかのオンライン詐欺や攻撃に遭遇したことがある、との報告もあります(参考:Online Scams and Attacks in America Today/Pew Research Center 2025.7.31)

個人情報漏洩の深刻化

フィッシング詐欺やマルウェア感染により個人情報が搾取されると、アカウント乗っ取り、クレジットカードの不正利用、不正送金といった金銭的被害に繋がります。被害に気づかなければ、被害金額が戻ってこないケースも少なくありません。実際に2024年には、上場企業およびその子会社で189件もの個人情報漏洩事件・紛失事故が発生(出典:株式会社東京商工リサーチ)し、件数は過去最多を更新しました。不正者は盗んだ個人情報を「ダークウェブ」などで売買し利益を得るため、企業や個人の情報は常に狙われていると認識すべきです。

山田 元樹

執筆者

株式会社MU 代表取締役社長

山田 元樹

社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援を過去のエンジニア経験を活かし、エンジニア + 経営視点で行う。DX推進の観点も含め上場企業をはじめ多数実績を持つ。