新たな挑戦のため、社内の風通しを意識

変化の激しいECサイト業界においては、常に新たな取り組みも求められます。メルカートでは、最近はどのようなことに力を入れているのでしょうか。
渡邉氏
「最近注力しているのは、ECと店舗を連動させたビジネス推進です。例えば店頭で購入した会員とECの会員の情報を突合させてクロスユースのユーザーを見つけていく施策や、店舗で買い物をする際にアプリで会員情報を提示する仕掛けを実現しています。EC周辺のチャネルも含めたビジネス全体を捉えることに軸足を置き始めました。」
常に新たな挑戦を続け、スピード感をもってビジネスを進めるために、社内の風通しを意識しているそうですね。
渡邉氏
「例えば「クライアントからこういう機能が欲しいという要望があった」といった社員の声をすぐにキャッチして会議にかけ、製品として提供するか議論できるサイクルを作っています。意識しているのは、無駄な承認フローを作らず、クライアントや消費者、社員の声を製品に還元していくということです。
また、業界のネットワークやグループ会社を通して得られる様々なノウハウがあるので、いろいろなところに顔を出して情報収集には力を入れていますね。」
座間氏
「社内のスピード感を上げるための施策として、クライアントからの「要望リクエストSlack」というものを設けています。1ヶ月に20~30件ずつクライアントの声が集まり、実装するか否か、日々議論が盛り上がっていますね。」
実際にクライアントの声が、新しい機能のローンチにつながった事例は数多くあると伺いました。
渡邉氏
「当社では、クライアントが操作している画面のアクセスデータを分析して、どこに運用負荷がかかっているかを定期的に調査しています。
例えば商品のコメントをAIで生成する機能や、商品情報をいろいろと登録しなくても消費者が簡単に商品を探せる機能を追加するなど、実際の運用負荷やデータをもとにオペレーションを効率化するための機能開発を行ってきました。」
小岩氏
「デジタルツールに慣れていないクライアントが多くいらしたことをきっかけに、ノーコードCMSの機能を強化したという事例もあります。これはサイト上をHTMLなしで簡単にコンテンツ編集できる機能です。」
世界観を表現できるECサイトを

ECブランドもサイトも増え続けている中、メルカートの皆さんは、今後は消費者がそのECサイトで商品を買いたくなる理由を作っていくことが重要になると感じています。そのため、ECサイトでブランドの世界観をどれだけ演出できるかが大事だといいます。メルカートの今後の展望をどうお考えなのでしょうか。
渡邉氏
「ブランドの世界観を表現できる機能や、それが簡単にできるAIや自動化をより強めていきたいと考えています。
ECサイトは消費者のデータを集めやすい販売チャネルです。データをより獲得して製品開発やマーケティングなどに活用できる、いわゆるDXの入り口の仕掛け作りができるECサイトにしたいと思っています。データ基盤を整えて、クライアントの顧客資産を活用できるプラットフォームにしていきたいですね。」
ECサイト業界全体の今後はどうなっていくのでしょうか。
渡邉氏
「ECサイト業界単体では、成長し続けるのは難しいでしょう。日本全体の人口が減っている中で、ECサイトというチャネル単体だけでなく、ECサイトを起点に会社のほかのビジネスと融合させていくことが重要だと思っています。
また、AIの進化が加速する中で、ECサイトにAIを組み込むのは自然な流れとして出てくるはずです。一方でAIだけに任せたECサイトは売れにくくなっていくでしょうから、そこに事業者のブランドの世界観や感性をどれだけ融合できるかが大事になってきます。事業者がAIをうまく使えるプラットフォームにするために、両方を支援できるECサイトにしていくことがカギになってくるのではないでしょうか。」
座間氏
「国内市場が縮小する中で、海外展開はこれから増えていくだろうと思います。
日本企業にとってはAIが出てきたことで言語の壁を取り払って販売することが可能になりますし、今年や来年にかけて、海外で成功する日本のECサイトが出てくるだろうと思っていますね。
ただ本格的な越境サービスを展開するには、システム投資や現地倉庫の立ち上げ、関税への対応などが障壁になります。我々もECサイトを簡易的に越境対応させるようなサービスとの連携は随時進めています。」
まとめ:クライアントのDXを実現するECサイト構築をサポート
数あるECプラットフォームの中で、メルカートが徹底しているのは、クライアント企業やその先の消費者まで見据えた丁寧なサポートと、クライアントや消費者の声を素早く反映した機能強化です。
- 人がサポートする部分、AIがサポートする部分を分け、それぞれにおいて丁寧に伴走する
- ECサイトに詳しくないクライアントも自らPDCAサイクルを回せるようになるよう、ハード面とソフト面の双方においてサポートする
- クライアントや消費者の声を素早く反映し、機能を強化できるよう、社内の風通しをよくする
ECサイト構築を支援する際には、それぞれのクライアントの現状やリテラシーのレベルに応じたサポートをすることが大切です。
そうしたサポートが、最終的にはクライアントのDXを実現し、EX、ひいてはCXの向上にもつながり、大きな価値を提供できるのではないでしょうか。
株式会社メルカート
株式会社メルカートは、国内ECサイト構築分野で豊富な実績を持つ「ecbeing」を基盤に生まれた、次世代クラウド型ECサイト構築プラットフォーム『メルカート』の開発・提供を行う企業です。 AI技術やノーコード機能に加え、ECのプロフェッショナルが企業と伴走し、EC事業の効率化と持続的な成長を支えています。
社名:株式会社メルカート
本社:東京都港区南青山 2-2-8 南青山DFビル 9F
設立:2025年10月1日
事業内容:SaaS型ECプラットフォーム『メルカート』の開発・提供
執筆者
DXportal®編集部
吉川真布
朝日新聞社で記者として約8年勤めた後、教育・リスキリング系ベンチャー企業に参画。Webライターとしても活動し、大手出版社系メディアなどで、起業家やビジネスパーソンのインタビュー記事を執筆。
