【飲食店を変えるDX戦略③】モバイルを活かせない飲食店は未来がない!?

【飲食店を変えるDX戦略③】モバイルを活かせない飲食店は未来がない!?

飲食店を変えるDX戦略の実例と導入のアイデアを紹介するこの特集記事ですが、第3回目の今回は「モバイルを活かせない飲食店は未来がない!?」と題してお送りします。

現代のビジネスシーンでは、飲食店に限らずモバイルユーザーをマーケティングの主軸に添えるのはもはやマストで、それを除いて考えることはできません。

そこで飲食店においても、モバイルをうまく利用したマーケティングを導入するだけでなく、それに加えてモバイルオーダーシステムなどをうまく利用して、新しいライフスタイルに即したビジネスモデルを確立する必要があります。

今後の飲食店ビジネスを考える上で絶対に欠かせないモバイルの有効活用を通して、顧客を取り込むためのDX推進のヒントをつかんでください。

モバイルを活かせない飲食店は未来がない!?

総務省の調査によれば、2019年における個人のモバイル端末保有状況は8割を超え、パソコンの保有状況を上回っています。

さらにいえばスマートフォンの保有率が7割近いことからもわかるように、現代ビジネスではスマホを始めたとしたモバイルを、ユーザーが保有していることを前提とした戦略は必須です。

それを飲食店に落とし込んで考えると、大きく次の2つが考えられます。

  • 飲食店ホームページに求められるモバイル最適化
  • モバイルオーダーシステムで非接触型ビジネスモデルを確立

どちらの戦略も現代の飲食店DXにおける大切なキーワードで、こうしたところからでもモバイルを有効活用することができなければ、コロナ禍で飲食店のあり方自体が変わってしまった現代では生き残ることはできないでしょう。

飲食店ホームページに求められるモバイル最適化

飲食店ホームページに求められるモバイル最適化

インターネットでWebサイトを閲覧するには、パソコンとモバイル端末(スマートフォン)の両方を使うと思いますが、この2つは同じサイトでも表示される画面が違うのはお分かりでしょう。

このうちスマートフォンなどのモバイル端末で見た時に、もっとも読みやすく使いやすいデザイン・形式へと整えることを「モバイル最適化」といいます。

飲食店の検索は外出時に出先で近所の店を検索したり、直接予約を取ったりすることも多いため、特にモバイル端末で利用しやすい自店のホームページを用意したり、わかりやすい予約システムを用意する必要があるということです。

モバイル最適化はユーザーファーストから

モバイル最適化はユーザーファーストから

ユーザーが飲食店の情報を検索する場合、「◯◯な店が知りたい、行きたい」という欲求を元に検索をするでしょう。

その時、求めている情報=店舗により早くアクセスすることができ、満足いく情報を手に入れることができたら、それが予約などの行動へと直結します。

このことを考えると、店舗側がもっとも考えるべきはユーザーにとって使いやすい、つまりユーザーファーストなサイトを作成するということです。

  • スマートフォン専用の見やすいレイアウトのサイト
  • サイトの表示速度が早い
  • 予約ボタンなどがわかりやすい場所にある
  • Webブラウザ(パソコン)と同様の情報量がある
  • SNSや飲食店情報サイトなどと適切なリンクが貼られている

など、こうしたさまざまな要素がモバイル向けに最適化されているかどうか、ユーザー目線に立って開発することが、現代の飲食店のホームページには求められます。

自店のメリットや伝えたいことばかりと詰め込むのではなく、ユーザー目線で開発を行えば結果的にWeb上で自店を目立たせるSEO的にも有利となるなど、そのメリットは巡り巡って返ってくるのです。

*:検索エンジンでは最大手のGoogleでは2018年にはモバイルファーストインデックス(Mobile First Index、MFI)を発表し、スマートフォンに最適化されたサイトを今まで以上に評価するとしています。また同時に、モバイル、デスクトップ問わずユーザーフレンドリーなコンテンツこそ検索順位の評価基準であると明言しています。

参考:Google【ウェブマスター向け公式ブログ/モバイルファーストインデックスを開始します】2018.3.27

モバイルオーダーシステムで非接触型ビジネスモデルを確立

モバイルオーダーシステムで非接触ビジネスモデルを確立

次に現代の飲食店経営で注目されているモバイルの利用方法は、モバイルオーダーシステムです。

キャッシュレス元年と呼ばれる2019年頃から、QR決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済が登場し、飲食店にも積極的に導入されるようになりました。

その流れは2020年の新型コロナウイルス蔓延以降より顕著となり、ソーシャルディスタンスを設けることが飲食店でも求められるようになり、電子決済だけでなく注文時でもなるべく店員とお客様が接触する時間を少なくすることが求められています。

そのために有効な施策として、大手チェーン店を中心に導入され始めたシステムがモバイルオーダーシステムで、その潮流は徐々に小規模飲食店へも派生しているようです。

このシステムの特筆すべき点は、お客様が自身のスマホを使って商品注文(店舗の予約)~決済までのすべての流れを来店前に事前に済ますことができるという点にあります。

これにより約束の時間にお客様が訪れると、店側が用意した商品を提供するというシステムで、双方ともに数々のメリットを有したシステムです。

テイクアウトなどでは既に実績のあるシステムですが、これを店内でのオーダーまで活用方法を広げることで、新たな可能性が見えてくるでしょう。

モバイルオーダーシステムの利点

モバイルオーダーシステムの利点

【お客様側のメリット】

  • メニューを来店前にじっくりと吟味できる
  • 料理提供の待ち時間が少なくなる

【店側のメリット】

  • オーダー受け~会計といった一連のオペレーションが軽減される
  • 顧客満足度・リピート率の向上に貢献
  • 顧客データを収集できる⇒ダイレクトな発信へつながる

こうした双方のメリットが予測できるモバイルオーダーシステムですが、双方ともに享受できるメリットとして「滞店時間が短くなる」といった点もあります。

これによりウイルス感染のリスクが最小限となり、アフターコロナの時代に即したシステムとしてますます注目されることは間違いありません。

顧客とファンを見極める

顧客とファンを見極める

このように店側、お客様側双方にとって多くのメリットがあるモバイルオーダーシステムですが、導入の際には当然のことながら注意点がいくつかあります。

それは調理時間の長い料理を提供している店の場合、お客様の来店時間に合わせるのにある程度の慣れが必要で、それ相応の研修などが求められるといった点と合わせて、そもそも注文時の会話を重視したり、サービスマンの個性が売りの店では導入が難しいといった点です。

ここで大切なのは、来店したお客様が店にとっての「顧客」なのか、はたまた店やスタッフの「ファン」なのかを見極める必要があります。

このどちらかに比重が著しく偏っているタイプの店というのもあるはずです。

回転率を重視し、客単価も低いタイプの店舗であればモバイルオーダーシステムは大きな効果を発揮しますが、BARやフレンチレストランなどに代表されるスタッフのサービス・ホスピタリティを求め、会話そのものを楽しもうとするタイプの店舗では、導入することがデメリットとなる可能性もあるでしょう。

このように業務を改革する可能性のあるIT技術ですが、すべてを闇雲に導入するのではなく、自店の求める未来像をしっかりと描き、その上で現在の問題点を解決するためのビジネスモデル改革が必要となることだけは忘れないようにしたいものです。

まとめ

飲食店を変えるDX戦略の第3回目として、人々の生活に欠かすことのできなくなったモバイルの活かし方について解説してきました。

どのような施策を取るかは別にしても、今やモバイルを有効に活用したビジネスモデルを構築しない限り、これから先の激動の時代を生き残っていくのは難しいといわざるを得ません。

その際に忘れてはいけない視点は、店側の利点だけでなくお客様にとって真に使いやすいシステムはどういうものなのかを、経営者だけでなくアルバイトスタッフまで全員が共通認識として持ち続けるということです。

そのためには特別のプロジェクトを立ち上げるなどして、様々な意見を取り入れた開発を行うことが、DX推進を成功させるための1つの鍵となります。

激動の時代を生き抜くための原動力としてDXを活用するために、今こそ全社一丸となっての取り組みが求められているのです。


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この記事の執筆者

DXportal編集長

町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

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町田 英伸

自営での店舗運営を含め26年間の飲食業界にてマネージャー職を歴任後、Webライターとして独立。現在はIT系を中心に各種メディアで執筆の傍ら、飲食店のDX導入に関してのアドバイザーとしても活動中。愛車で行くソロキャンプが目下の趣味。

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