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「A校舎の口コミは4.5なのに、B校舎は3年前から更新が止まっている」
複数校舎を展開する学習塾の本部担当者なら、Googleマップに表示されるレビューをみて、こんなふうに一喜一憂した経験があるかもしれません。
少子化で生徒数が減少するなか、限られた生徒を奪い合う競争が続く学習塾業界。その集客導線は大きく変わりつつあります。かつてはチラシやポスティングに頼ることが多かった生徒募集の入り口が、最近では「地域名+学習塾」で検索し、Googleマップに表示される教室情報や口コミを見て比較検討する保護者が増えているようです。
こうしたユーザーニーズの変化にいち早く取り組まなければ、激化する生徒獲得競争に勝ち抜いていくことは難しくなるでしょう。とはいえ、複数校舎を展開する学習塾などでは、この検索接点への対応が校舎ごとの担当者任せになりやすく、本部が気付かないうちに、目の前にある集客機会を取りこぼしているケースも少なくないようです。
この記事では、複数校舎特有のMEO(地図検索)対策の課題と、実際に150以上の教室を一元管理へ切り替えた学習塾の事例を紹介します。
【本記事の要点】
- 複数校舎を展開する学習塾ほど、口コミ・MEO対策が校舎ごとの手作業に依存し、本部が一元的に品質を管理できなくなりやすい
- 約20ブランド・150以上の教室を運営する株式会社アップは、MEO対策を一元管理するツールを導入し、業務負担と入力ミスを削減した
- MEO対策は生徒数の増加を保証するものではなく、既存の検索接点を取りこぼさないための土台である
- 自社の校舎ごとのGoogleビジネスプロフィールの更新状況・口コミ返信状況を、本部から確認できているかが最初の点検ポイントになる
少子化のなか、学習塾の集客はチラシからどう変わったか
まず、学習塾の集客を取り巻く環境の変化を整理します。少子化により子どもの数そのものが減少するなか、限られた生徒を多くの学習塾が奪い合う状況が続いています。こうした環境では、新規のチラシ制作や広告の出稿を増やして母数にアプローチするより、すでに検索行動を起こしている保護者を取りこぼさないことの方が、費用対効果が高い場合が少なくありません。
現に、近年では保護者が学習塾を選ぶ際、Googleマップで周辺の教室を検索し、口コミや評価、営業時間、写真といった情報を比較する行動は、すでに一般的になっています。この検索接点、いわゆるMEO(地図検索最適化)は、チラシのように配布地域を限定する必要がなく、保護者が「今まさに学習塾を探している」タイミングで接触できる貴重な入り口です。
複数校舎ほど、口コミ・MEO対策が手薄になる理由
単独の教室であれば、Googleビジネスプロフィールの情報更新や口コミへの返信は、教室長や経営者が自ら目を配れる範囲に収まります。しかし、校舎数が増えるほど、この構造は成り立たなくなりがちです。
実際、校舎が10、20と増えていくと、各校舎の情報登録や更新は現場任せになってしまうことがほとんどでしょう。
- 新しい写真の追加
- 営業時間の変更
- 口コミへの返信
こういった作業が、校舎ごとの担当者の裁量やスキルに委ねられ、本部が全校舎の対応状況を横断的に把握できなくなっている教室は少なくありません。それどころか、専任・兼任問わず、MEOの担当者を設置していない教室も多いのではないでしょうか。
これでは、せっかくの有効な(しかも費用の負担がほとんどない)集客施策を、みすみす手放していることになりかねません。結果として、更新が止まったままの校舎や、口コミへの返信が滞っている校舎が本部の目の届かないところで発生し、検索結果での見え方にばらつきが生まれてしまうのです。これが、複数校舎ほど口コミ・MEO対策が手薄になりやすい構造です。
150教室のMEO対策を一元管理した事例
この課題に実際に向き合った事例として、兵庫県西宮市で約20ブランド・150以上の教室を運営する株式会社アップの取り組みを紹介します。
同社は、Googleビジネスプロフィールを用いたMEO対策を手作業で行い、150以上ある教室の情報を1つずつ登録する作業に追われていました。Yahoo!プレイスへの対応も検討していたものの、日々の手作業だけで手一杯で、これ以上業務を増やせる状況ではなかったのです。
そこで同社は、MEO一元管理ツール「MEO Analytics」を導入しました。導入後は、GoogleビジネスプロフィールとYahoo!プレイスの情報をまとめて管理できるようになり、集客導線が整えられただけでなく、業務の負担自体も大きく減らすことができました。同時に、手作業では避けられなかった入力ミスも減少し、あわせてYahoo!マップからのアクセスも増加。新たな顧客の流入口が増えました。
この事例が示しているのは、ツールの機能そのものよりも、「150校舎分の情報管理という、これまで現場任せにせざるを得なかった業務を、本部が一元的に把握できる状態に変えた」という点です。
出典・参照:
自社のMEO対策を点検する視点
自社の対策を点検する前に、まずMEOがどのような仕組みで機能しているのかを押さえておきましょう。仕組みを理解しないままチェックリストをなぞるだけでは、何を優先すべきかの判断がつきにくくなります。
MEO(Map Engine Optimization、地図エンジン最適化)
MEO(Map Engine Optimization、地図エンジン最適化)とは、Googleマップやスマートフォンの検索結果に表示される地図枠(ローカル検索結果)で、自社の教室が上位に表示されるように対策を行うことを指します。Googleは、この地図枠の掲載順位を決める要素として、大きく3つを挙げています。
- 関連性:検索キーワードと、Googleビジネスプロフィールに登録された業種・サービス内容・投稿内容などがどれだけ一致しているか
- 距離:検索者がいる場所や検索した地域と、教室の所在地がどれだけ近いか
- 知名度:口コミの件数や評価、ウェブ上での認知度
チラシや広告のように不特定多数へ一括配信する施策とは異なり、MEOは「いままさに検索している、その保護者」に向けて最適化される点が特徴です。だからこそ、Googleビジネスプロフィールの情報充実度や口コミへの対応にばらつきがあると、同じブランドの中でも校舎ごとに検索結果での見え方に差が生まれてしまいます。
こうした基本が改めて確認できたところで、以下、MEO対策を点検するいくつかの視点について詳しく解説します。
情報の正確性
まずは、基本情報に誤りがないかを確認します。
- 営業時間
- 住所
- 電話番号
- 開講コース
誤った情報は保護者の来校・問い合わせ機会を直接損なうだけでなく、実態と異なる情報はGoogleのポリシー上も評価を下げる要因になりえます。
更新頻度
直近の投稿や写真がいつ更新されたかを確認します。長期間更新が止まっている校舎は、保護者から見て「本当に営業しているのか」という不安につながるだけでなく、Googleの評価上も活動性の低いプロフィールとして扱われやすくなります。
口コミへの返信
口コミへの返信が滞っている校舎がないかを確認します。返信の有無や内容は、閲覧者が教室の対応姿勢を判断する材料になるだけでなく、知名度を左右する評価要素の1つでもあります。
本部での一覧管理
これら3つの視点を校舎ごとに個別確認するのではなく、本部が横断的に一覧できる状態になっているかどうかが、最初の点検ポイントです。その上で、更新や返信の作業が特定の校舎や担当者の善意に依存していないか、業務として仕組み化されているかを確認することが、次の課題になります。
FAQ:よくある質問
Q1.MEO対策と広告出稿は、どちらを優先すべきですか。
どちらか一方を選ぶものではありません。ただし、少子化で新規層への広告出稿の費用対効果が下がりやすい環境では、まず既存の検索接点(MEO・口コミ)を取りこぼしていないかを点検してから、広告出稿の予算配分を検討する順番が現実的です。
Q2.MEO対策の効果が出るまでの目安はどれくらいですか。
検索順位や口コミ評価への反映は、更新頻度や口コミ数、地域の競合状況によって差があり、一律の期間を示すことはできません。まずは情報の正確性と更新頻度を継続的に保つことが前提になります。
Q3.校舎数が少ない場合でも、一元管理ツールは必要ですか。
1〜2校舎であれば、経営者や教室長が個別に管理できる範囲に収まることが多く、必ずしもツール導入が必要とは限りません。校舎数が増え、本部から現場の対応状況が見えなくなってきたと感じた段階で検討する、という考え方が現実的です。
Q4.口コミへの返信は、誰が行うべきですか。
本部が全校舎の返信内容を把握できる体制であれば、現場の担当者が一次対応し、本部が内容を確認する形が現実的です。返信担当が校舎ごとにばらばらで、本部が把握していない状態は避けるべきです。
まとめ|学習塾の集客DXは、新しい広告費より既存接点の一元管理から
複数校舎を展開する学習塾ほど、口コミ・MEO対策は校舎ごとの手作業に依存しやすく、本部が気付かないうちに対応の質にばらつきが生まれます。株式会社アップの事例が示すように、この課題への対応は、必ずしも新しい広告費をかけることではなく、すでにある検索接点の情報を本部が一元的に把握し、更新し続けられる状態を作ることから始まるのです。
まずは自社の校舎のGoogleビジネスプロフィールを開き、更新頻度と口コミ返信の状況が本部から見えているかを確認してみてください。そこから、貴社のMEO対策、ひいては集客導線の見直し作業は始まるのです。
執筆者
株式会社MU 代表取締役社長
山田 元樹
社名である「MU」の由来は、「Minority(少数)」+「United(団結)」という意味。企業のDX推進・支援を過去のエンジニア経験を活かし、エンジニア + 経営視点で行う。DX推進の観点も含め上場企業をはじめ多数実績を持つ。




