AIエージェント同士に「共通言語」ができ始めた|Google発A2A標準化が問うベンダー選定の分岐点【世界のDX潮流】

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複数のAIツールやAIエージェントを組み合わせて業務システムを構築している企業にとって、頭の痛い問題があります。ベンダーが違えば仕様も違い、連携させるたびに個別の開発コストがかかるという問題です。

しかし、2026年8月、こんな悩みを解決するかもしれない潮流が見え始めました。Googleが開発したAIエージェント間通信の標準規格「A2A(Agent2Agent Protocol)」が、エージェント型AIに特化した業界団体「Agentic AI Foundation(AAIF)」へ移管されたのです。

本記事では、異なるベンダーのAIエージェント同士が「話す」ための共通言語づくりが、業界レベルで動き始めています。この記事では、この動きが企業のAIエージェント選定にどのような判断材料をもたらすかを整理します。

【本記事の要点】

  • Google発のAIエージェント間通信規格「A2A」が、業界団体「Agentic AI Foundation(AAIF)」へ移管された
  • AAIFの会員数は2025年12月の設立時点で40未満だったが、現在は250以上に拡大している
  • A2Aは、AIとツール・データをつなぐ規格「MCP」と並ぶ、AAIFの中核プロジェクトとなる
  • AIエージェントの選定基準に「相互運用性」という軸が加わりつつあり、独自連携への投資と標準採用を待つ判断のどちらが自社に合うかを考える視点が求められる

Googleが手がけたA2Aが、業界団体へ移管された

異なるベンダーのAIエージェントがA2Aという共通言語で相互運用する構造

A2A(Agent2Agent Protocol)は、Googleが開発したAIエージェント同士の通信規格です。この規格が、Linux Foundationの一部門から、エージェント型AIに特化した団体「Agentic AI Foundation(AAIF)」の主催プロジェクトへ移管されました。

これは単なる管理団体の変更ではありません。AAIFは、複数のベンダーが関わるエージェント型AIの標準化を専門に扱う団体であり、A2Aがそこへ移されたということは、この規格がベンダーの垣根を越えた「業界の共通基盤」として位置づけられ始めたことを意味します。

出典・参照:

会員数は1年足らずで40未満から250以上へ

AAIFの会員数が1年足らずで40未満から250以上へ拡大したことを示す図解

AAIFの拡大ペースは、この動きへの関心の高さを示しています。AAIFは2025年12月の設立時点で会員数40未満でしたが、現在は250以上に増えています。

主要な支援企業として、次のような企業が名を連ねています。

  • Google
  • Microsoft
  • Amazon
  • Anthropic
  • OpenAI
  • Bloomberg
  • Shopify
  • Block

本来は競合関係にあるはずの企業同士が、同じ標準化団体に集まっているという点は注目に値するのではないでしょうか。

出典・参照:

A2AとMCP、2つの規格が同じ屋根の下に

AIエージェント同士をつなぐA2Aと、AIをツールやデータへつなぐMCPの役割分担

AAIFの中核プロジェクトは、A2Aだけではありません。AIアプリケーションとツール・データの接続を担う規格「MCP(Model Context Protocol)」も、A2Aと並ぶ位置づけとなっています。

両者の役割は異なります。MCPが「AIとツール・データをつなぐ」規格であるのに対し、A2Aは「独立したエージェント同士の通信」を担う規格です。この2つが同じ団体のもとに集まったことは、AIとデータの接続、そしてエージェント同士の連携という、AIエージェントを取り巻く基盤全体が標準化の対象として整理され始めたことを示しています。

出典・参照:

「プロトコル単体」ではなく「スタック全体」の開放

エージェント、プロトコル、ツール・データ、運用基盤まで開放するスタック全体の構造

この動きの背景にある関係者の考え方も、示唆に富んでいます。Google Cloud副社長のRao Surapaneni氏は、複数のベンダーが提供するエージェントシステムを顧客が導入するなかで、それらが互いに連携できる必要があるとコメントしました。

AAIF事務局長のMazin Gilbert氏は、「開かれたプロトコル」と「スタック全体が相互運用可能な開かれた標準」は異なるものであり、企業は単一のプロトコルではなく、開かれたスタック全体を求めていると述べています。単に規格を1つ公開するだけでなく、エージェントを取り巻く仕組み全体が相互に連携できる状態こそが、企業にとって本当に必要とされているという指摘です。

これらの動きが示すのは、各社が独自仕様でAIエージェントを囲い込む競争から、相互運用性を前提にコストや性能、レイテンシなどで差別化する競争へ、軸が移りつつあるという流れです。ただし、標準規格ができたからといって、実際の相互運用性がただちに実現するとは限りません。現時点はあくまで、その基盤が整い始めた段階だととらえるのが実態に近いでしょう。

出典・参照:

日本企業への示唆

AIエージェントの性能、つながりやすさ、移行しやすさを比較してベンダーを選ぶ図解

複数のAIツール・エージェントの併用を検討している、あるいはすでに運用している日本企業にとって、この動きはベンダー選定の判断材料になります。

これまでは、個々のAIエージェントの性能や機能そのものが選定の中心的な基準でした。しかし今後は、そのエージェントが標準規格へどれだけ対応しているか、他ベンダーのエージェントとどれだけ簡単につながるかという相互運用性も、無視できない判断軸になっていきます。

標準規格への対応状況を無視して独自仕様のエージェントへ投資を続ければ、将来的に他のシステムとの連携コストがかさみ続けるリスクがあるでしょう。一方で、標準化の完全な普及を待ってから動くという判断も、機会を逃すリスクをともないかねないのです。

まとめ:AIエージェント選定に「つながりやすさ」という新しい軸が加わる

GoogleのA2AがAAIFへ移管され、AIとツール・データをつなぐMCPと並ぶ中核プロジェクトとなったことは、AIエージェント業界が独自仕様の囲い込みから相互運用性重視へと軸を移しつつあることを示しています。会員数が1年足らずで40未満から250以上へ拡大した事実も、この方向性への関心の高さを裏づけています。

ただし、標準規格が整い始めたことと、実際にどのベンダーのエージェントでも自由に組み合わせられる状態になることの間には、まだ距離があります。複数のAIツール・エージェントを組み合わせる企業にとって、独自の連携作りに投資し続けるのか、標準規格の普及を見ながら判断するのか。今回の動きは、その選択を考えるための新しい材料の1つといえるのではないでしょうか。

DXportal®編集部

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